被食者
ずっと、男になりたいと思っていた。
ある日、それが違うことに気づいた。
女が弱いから嫌なだけだったのだ。
男女共々、苦労はあることはわかっている。
私は、男だから女だからというのが大嫌いだ。
女が強ければ女が良い、男が強ければ男が良い。
強いものでありたかっただけだ。
男より弱いから、女でいたくないのだ。
ニュースで女性が切りつけられた事件、痴漢の被害を見るたびに思ってしまう。
それは男ではなく、弱い存在であるからだと。
私自身、過去に電車で痴漢に遭ったことがある。
助けを求めても見て見ぬふりされて、結局は自分ひとりで逃げるしかなかった。
考えたくなくても考えてしまう。
自分が痴漢にあったのは100%ではないが、女という要因があるからだと…
個人的に男女で被害に遭う確率は、女性が圧倒的に多いだろう。それは、女が男より弱いとわかっているからだ。
あぁ、被食者みたいだ。
痴漢にあった日、SNSで痴漢被害にあった女性の話を見た。そこにあったのは、「被害妄想」「嘘だ」「見たことがない」といった男性からのコメントだ。
女性から身近な痴漢は、男性からしたら、日常からかけ離れた存在であるのだと痛感した。
女性でも痴漢冤罪をする捕食者がいる。
それは女性が悪い。
しかし、痴漢がなかったら痴漢冤罪は発生しなかった。
羨ましい。
普通に電車に乗れて、背後を横を気にしなくて良い。
知らないところで性の対象にされず、何者かに怯えずに外を堂々と歩けること。
きっと捕食者にはわからない。
女だというだけで警戒しなくてはならない。
そんな世界が嫌だ。
よくこういったもので、全員がそうではないという男性がいる。
それは当たり前だ。
皆んなが捕食者であったら地獄でしかない。
女性にも捕食者は勿論いる。
しかし、男性と女性では割合が違うのだ。
一度でも恐怖が簡単に消えるわけがない。
男女には覆せない、力という大きな壁がある。
どれだけ知能が発達したとしても、いざという時は力が全てだ。
弱い女は男には勝てない。
私は男になりたいわけではなく強い存在になりたい。
ヒーローは現実でもアニメでも主人公は全て男だ。
女はいつも守られている。
女の子だから危ないとよく言われる。
心配してくれる人たちに悪気がないこと、自分のことを考えてくれていることはわかっている。
私は女だと、守られる側だと、再認識させられる。
何故だ?何故、女だというだけで身の心配をされるような世界に誰も疑問を持たないのだろう。
好きで女に生まれてきたわけじゃない。
私だって強くなりたかった。守る側になりたかった。
女の子だからと禁止された格闘技。
女の子だからとダサいと言われる動きやすい服装。
男性にもこの逆で男の子だからというのはあると思う。
私は女を男を否定しているわけではない。
ただ、その人自身より性別で見られるのが嫌だ。
捻くれているとは思うが、男性の「守ってあげる」が私には下に見られていると感じる。
どんなに強さに焦がれても、性別の壁は超えられない。
力の強さには勝てない。
やはり無理なのだろうか?性別の、力の差がある限り。
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