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きっと大丈夫

はじめまして。今回、リレーブログを担当します、東京在住の本藤です。
現在、高校3年生と中学3年生の2人の息子がおります。

さて、私のハートフルコミュニケーションとの出会いは、10年ほど前、
長男が小学4年生、次男が小学校に入学した頃でした。
先回りの気持ちもあり、思春期が気になり始めた時、タイムリーにも地域開催の思春期子育て講座(全3回)について区報で知り、申し込みました。
その第1回目がハートフルコミュニケーションによる講座だったのです。
そして、その時に聞いた「子どもの幸せな自立」という言葉に衝撃を受け、
“自分の子育て軸”について自問自答が始まりました。

子どもたちにはこんなふうに育ってほしい。(私もそうだったから。)
子どもたちによりよい道を作ってあげたい。(私もそうしてもらったから。)

仕事や子育てに追われて余裕のなかった私にとって、そんなふうに思うことは自然なことでした。両親から受けた子育てが一番の見本であり、両親と同じフィルター(価値観)を通して子育てをしている、そんな自分に気づきました。それ以来、ハートフルコミュニケーションで子育てを学びながら、息子たちと関わるなかで、「子どもたちの心を ”私自身の眼”で よく観察することが大切」ということが、まさに教訓のようになってきました。

そんな私に、親としての立ち位置を試すような、大きなできごとが起きました。長男が中学3年から高校にかけて3回、学校に行けなくなり、高校2年生で違う道を選択することになったのです。

1回目も2回目も色々な方々の協力もあって背中を押され続けて本人もよく頑張っていた、そんなふうに思います。勉強や部活も人間関係もとても順調だし、学校に来たらいい笑顔を見せているー、何が問題なのか?と先生方から言われたり、学校でも家でも、頑張れ!と励まされながら、大変な時期を乗り越えてきました。
それが、高校2年になってリズムよく登校していたのも束の間、突然、ピタッと動けなくなってしまったのです。

壁にぶつかっても、周りの励ましに応えようと頑張ってきた姿を見て、応援しつつも もういいよ、と思ったり、他にもっとよい道があるんじゃないかーと先回りしそうになったり。
母親としての葛藤を感じながらも、私が彼の道を決めるんじゃない、彼が自分で選択することが大事なんだ…と、焦る気持ちを抑えるのに必死でした。息子の心の内を理解したいと思い、不登校について勉強し、観察し続けました。

そして、ベッドに潜っている長男の背中をさすりながら、私の口から出た言葉は、
「いいよ、もう無理しなくても大丈夫だよ。もう十分に頑張ったよね。 あなたはきっと大丈夫」 
というメッセージ。
そのままの彼の姿を受けとめて、言葉で想いを伝えるだけなのに、この言葉を言えるのにどんなに時間がかかったことか…。私はまるで着ていた鎧を脇に置くことができたような、身体も気持ちもふわっと軽くなる感覚を味わい、涙が溢れてしまいました。その言葉を聞いた長男がふと顔を上げて、一瞬ほぐれた表情を見せてくれたことを今でも忘れません。

その日を境に、私は周りの声がさほど気にならなくなり、私自身の眼で、長男を見れるようになったような気がします。しばらくして、久しぶりに出かけようと誘って、伊勢神宮参拝に行くことができました。日帰りでしたが、自然の中の神秘的な空間で深呼吸し、エネルギーを満たして少しずつ先のことを話せるようになっていったことを覚えています。

昨日ふと、息子に聞いてみました。
「あの時ってお母さんにどうして欲しかった?」
すると、
「口出ししないで見守ってくれたから十分だった。心配していたのはわかってたけど、子どもって自分でどうにかできるもんなんだよ」
とテンポの良い返事。
そうか、信じてもらっている、見守ってもらっている、それだけで良かったんだ…。
あの頃を思い出しながら、肩の荷が軽くなったような自分がいます。

2020年2月24日
東京都/本藤克子
NPO法人ハートフルコミュニケーション認定ハートフルコーチ


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