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発達障害人材の未活用は「2.3兆円」の損失。苦手の多い学生さんを地域人材に。

法定雇用率3年後に2.7%

企業に義務づけられている障害者の雇用率について、厚生労働省は現在の2.3%から段階的に引き上げ3年後に2.7%とすることを決めました。
現行の2.3%だと常用労働者数44人以上の場合は障害者を雇用する必要がありますが、2.5%となる令和6年4月より40人以上、2.7%なら38人以上の企業で新たに雇用の義務が生じることになります。
すでに雇用義務がある企業でも常用労働者数5000人の企業を例にとると、現行は115人の雇用義務、2.7%になるころには135人の雇用義務が生じることになります。

「量」から「質」の時代へ

障害者雇用は、数合わせのように雇用率を達成する「量」の時代から、企業の収益に貢献する業務に関わってもらうために、仕事の内容を見直す「質」へと転換してきています。機械的な雇用率の引き上げだけでなく、幅広い視点から議論を行っていくべき時代に入っています。そのうえで、障害者雇用の場では、調子の波が出てしまう精神障害、発達障害の人たちの働く場を、どう広げるかが課題となっています。

経済損失は年間2.3兆円

野村総研が発表したレポートでは、発達障害人材を活用できないことによる国内の経済損失は年間2.3兆円という推計が発表されました。うち労働関連の経済損失は1.7兆円。低年収や、非就業・休業、生産性低下による損失を換算したものです。さらに、職場に発達障害に関するサポートがある場合は、ない場合に比べて生産性が34ポイント上昇することも同レポートで報告されています。

高いスキルの技術者を積極採用

「ダイバーシティー」といえば、従来は“弱者救済”的な意味合いが強かったですが、そうではなく、さまざまな知識や経験、視点を持つ人がいることでイノベーションが起こり、企業価値が向上する、そうした考え方が主流になりつつあります。
発達障害の当事者たちは、普通の社会だとフレキシブルに動けないなど、いろいろな状況があります。でも、そうした「特性」を持つ人材を積極採用し価値創造につなげようとしているのは電気機器メーカーのオムロングループの「異能人財採用プロジェクト」などがあります。これは一部の才能のある方たちの話かもわかりませんが、発達障害の当事者たちは、「常に100%で動く」。いい意味でも悪い意味でも、手を抜けない非常にピュアな、力強い人たちです。彼らは本来の人間の鏡というか、職業人の鏡です。
発達障害がある方をうまく雇えている会社は、逸材を見つけるのも上手いと思われます。ちょっとクセがあって扱いづらいけど、営業力がすごい、企画がどんどん出せる、コーディングがすごい、セキュリティーに強いなど、何かに突出している人にどう活躍してもらうか。発達障害者と一緒に働くというのは、逸材を活用する方法を探ることと、ほぼイコールになる可能性があります。

すぐに障害者採用は難しい。ならば...

学生支援ワーキンググループが支援している学生さんの中にも逸材が隠れているかも分かりません。受け入れ体制が不十分。社内の協力が得られないなど、今すぐ障害者採用は難しいという企業様は「苦手なことが多い学生さんを地域人材に育てる」活動を応援しませんか?

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