心が勝手に開いてた

 心はひらくものじゃない。動詞じゃない。
 心はあくものだと思う。開いているという状態。

 自分で意識して心を開けることはできない。でも閉めることはできる。平等じゃないよねぇ。



 いま心が開いた、と思う瞬間がある。

 それまでただの人間だったものが、近所のよく挨拶する人、面倒見のいい先輩、ちょっと自慢話が多い友人、ちょっと気になる人、…に変わる。
 それまでただの人間だったものに、感情を持つようになる。気楽、苦手、ずるい、頼りたい、好き、嫌い。


 周りがただの人間だけだったら、自分のことしかちゃんと見えないけれど、
 心が開いてしまったら、誰かに対して感情を持つ。
 感情を持ってしまったら、もうその人はただの人間じゃない。NPCじゃない。今後心を触れ合わせる人になる。

 だから緊張してしまう。傷つけたくないと思う。愛されたいと思う。
 ただの人間に見えていた時の方が自然な自分でいられたと思う。感情があること自体が億劫になったりする。


 周りの人に心を開くべきでも、心を閉ざすのはいけないことでもない。

 ただ、心は開かずにいられないだけ。

ここまで読んでくれたあなたがだいすき!