いちオタクには事実なんてわからないけど、あなたがくれた愛はわたしにとってのほんとうだった

 こちらの記事の後日談です。


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 ハートブレイクしちゃった 日記にはなんて書こうかな
 この度「推し、燃ゆ」から「推しが辞めた」にレベルアップしてしまいました。

 推しのことは度々noteに書いておりました。この時幸せそう。
 最後の方で分かる人には特定できるような内容書いちゃってるけどもういいや。


 推しと出会ってからの時間がこんな風に終わりを迎えるなんて思ってもみなかったよ。
 わたしにとっては幸せの象徴だったから、こんな悲しい結末だなんて。

 でも、活動休止して、そのあと自分から申し出て事務所退所と芸能界引退という道を選んだところもまた、推しらしい選択のように思えてしまうのです。


 幸せだったなー。
 推しに出会って6年半、1人で泣いたり、誰かに助けてもらえることじゃないから自分で頑張らないといけなかったり、そんな時間が全くなかったわけがないのに。
 推しがわたしのこころのなかにいるだけで、わたしのこころはじんわりとあたたかくて、やわらかかった。
 愛をたくさんもらった。


 わたしの推しはどんな人だったんだろう。

 こんなことになるなんて思ってもみなかったから、ファンであるわたしたちには見せない部分があったのかもしれない。
 わたしの推しとの思い出は、虚構やつくりものだったんだろうか。


 それはもはや分からないことだし、わたしには一生知りえないことだけど。
 たとえば、主演で、しかも初めての女性役で、幕が上がるのがすごく楽しみだったあの舞台のこととか、
 その舞台でウエディングドレス姿の推しが客席を歩いてきた姿がすっごく綺麗だったこととか、
 SNSで日めくり企画と称して1年間毎日自撮りを上げてくれたりだとか、
 テスト直前のいそがしい期間にも舞台観に行ってしまってお見送りで目が合ったあの瞬間とか、
 演出家さんが推しを褒めるツイートしてくれた時とか、
 コロナ禍で活動が制限される中でも着実にステップアップしてどんどん大きな舞台に出るようになったこととか、
 クリスマスにケーキ食べながらインスタライブしてくれたこととか、
 念願の帝劇デビューとか、

 ほんとに、ほんとに、楽しかったなー。



 ほんとうの推しの姿なんて分からない。

 でも、推しの見せてくれた景色からわたしの中に生まれた幸せな感情は確かに真実だった。
 炎上の原因となることをしてしまったのが真実だとしたら、演出家さんや共演する先輩に評価されるくらい芝居にひたむきに向き合っていたことも、ひとりのファンにこんなに愛をくれていたことも、真実だったんじゃないかって。

 あるいは、仮に自分の言った通り推しの姿が虚構だとしても、6年半ずっと幸せな虚構を見せてくれた。

 この幸せな虚構があるから、この先も生きていけると思うくらいに。


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 わたしの好きな歌に「もう別の生活を灯す 君のいない明日なんていらなくても」という歌詞があって(flying/GARNET CROW)、


 悲しいけれどわたしもそうなってきている。
 推しのいない生活が少しずつ動き出してきて、日常になって、充実感さえ感じ始めている。


 推しが炎上してからわたしの世界は色が消えて音が消えたみたいになって、普通に社会生活するわたしがいる一方で、ずっと泣いているわたしが存在しているみたいだった。

 でも一方で社会生活するわたしは案外うまくやってしまって、飲み会なんか行って人と仲良く喋っちゃったり、仕事に充実感を感じ始めたりなんかして。
 こころはこんなに悲しんでいるはずなのに、手足はてきぱきと動いて、外に向かって歩き出しているみたいだった。推しのいない世界に向かって。



 思えば推しに出会った時すごく傷ついていたな。

 自分の書いた文章を人にクソだと言われて、傷ついて、1人で沢山泣いて、(今また文章書けるようになって良かったと思う)
なにかに縋っていないとこころが壊れてしまいそうだったとき、
部屋で毛布を被りながら繰り返し繰り返し見てた戦国鍋TVにあなたはいたんだよね。

 戦国鍋TVから局中法度も知って、唯一両方に出てるキャストで、パッチリした目と彫刻みたいにはっきりした顔と笑顔が印象的で、
 現実から逃げたくてフラフラ当日券取りに行った美男高校地球防衛部にもあなたは偶然出ていて、
 もっと言えば戦国鍋を見る前に見に行っていたハンサム落語にも回は違えど出演していて、あぁあの時パンフレットに写ってて印象深かったあの人だったのか~って思ったりして、

 そんなことが重なって好きになってしまったんだよね。



 わたしにとって推しは避難場所だったのかもしれない。

 人の言葉に傷ついて、誰のことも信じたくないと思っていた自分が、引きこもって傷を癒すための避難場所。唯一信じられるあたたかいもの。愛と幸せをくれた人。

 その推しがいなくなったのは、わたしがもう狭い場所に閉じこもる必要がなくなったからなのかな。
 もっと広い世界に出て、推し以外の人達のことも愛したり、愛をもらったりするために。

 あなたがいなくなったことを、そうやって解釈してもいいかな。



***

 嫌いになんかなれないよ。

 自分が本当はどんな人間なのか誰も知らないように、あなたのことも本当はどんな人間なのかなんてわからないから。

 でも、わからないことばかりの中で、
あなたから愛をもらった私が幸せだったことはちゃんと真実だから。



だから、


ありがとう。

おやすみ、前ちゃん。

ここまで読んでくれたあなたがだいすき!