新訳ドーナツホールPVを見て

ハチの「ドーナツホール」新しいPVを見て、
感動と興奮が抑えられない。

私がボカロに出会ったのは小学生高学年の頃。
年代で言うと2010年前半のボカロを良く聴いていた。
分かりやすくいうとハチ、じん、kemu、Neru、wowakaなどの有名ボカロPが曲を出しまくっていた時期だ。

初めてボカロを聴いたときは
「機械が歌を歌うなんて近未来的で凄く格好いい!」と感じた。
またそれと同時に
「これからはボカロが音楽シーンの主流になる!」と小学生ながらに確信していた。

しかし、その当時世間ではまだボカロは浸透しきっておらず、
同世代の人たちには「ボカロ=陰が薄い子が聴くもの」といったあまり良くない印象が根付いていた。
「ボカロ良いよね」と賛同してくれる友達も多くいたが、クラスメイトに「こんなの聴いているの?」と言われた経験も正直ある。

ボカロと出会った小学校高学年というのは思春期の入り口で非常に多感な時期だった。
特に人間関係やクラスの立ち位置が少しずつ変わって、困惑した時期にあった。
そんな中でボカロをひっそりと仲の良い友達同士で楽しんでいた。
何の曲がオススメだとか、曲の解釈について語り合ったのは良い思い出である。

そして中学生になってもボカロを聴いてはいたが、
年を重ねるごとに聴く音楽が変化し、自然とボカロから離れていってしまった。
そのためボカロを聴いていた時期=自分にとっての思春期というように感じられて、多感な時期に聴いていたボカロには大変な思い入れがある。

また私のボカロ離れと同時に上記のボカロPたちが活動休止をしたり、
新曲の更新がされなくなった。そのことが私をボカロから遠ざけることになった。

しかし、今回のドーナツホールの新PVは
私をもう一度ボカロへ引き戻すには十分すぎるものであった。

もちろん「ボカロ離れ」を暗喩するハチの「砂の惑星」も聴いていたが、
やはり自分の思い入れの強い曲がブラッシュアップされた方が自分としては
ボカロに戻るハードルがかなり下がった。

そんな思いを抱えながら、
新訳ドーナツホールをじっと見た。

一言でいうと素晴らしすぎる。
主な登場人物であるグミ・ミク・ルカ・リンのキャラクターデザインが元のPVの独特な雰囲気・絵柄を残しつつも、しっかりかっこ良くブラッシュアップされていた。
また4人の登場人物が元のPVのような静止画でなく、ヌルヌルと動いていることにも感動した。
そしてストーリー性もあり、ドーナツホールの廃れた世界観が見事に体現されている。
何度でも見て自己解釈を広げたくなってしまう。

十数年越しにボカロへ帰ってよかったと心から思った。
そしておそらく私のような元ボカロ好きも多くいると思う。
こういう人々を再びボカロへ、そして「あの頃」へ引き戻してくれる
米津玄師には感謝しかない。


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