腰部・骨盤帯 第7回 《股関節機能(柔軟性)》
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第一回の記事にて、腰痛になりにくい身体には股関節の柔軟性が必要だということをエビデンスを用いて説明させていただきました。
では、股関節の柔軟性を評価方法について述べていきます。
股関節の伸展制限因子の評価は難しく、詳細な検証が必要です。
一番、制限因子が絞りやすい方法はトーマス変法肢位での評価です。
※下記の評価は股関節に器質的な異常がないことが前提です。
左の写真のようなトーマス変法肢位をとり、大腿部がベッドにつき、股関節が外転せず、膝関節が90°屈曲位であれば制限なしです。
しかし、右の写真のように股関節が外転せずに、大腿部が浮いている場合、腸腰筋または大腿直筋の制限が疑われます。そこから膝を伸展して大腿部がベッドにつく場合、大腿直筋が制限因子になります。
次に、股関節が外転位で膝屈曲90°にて大腿部がベッドから浮いている場合、股関節をさらに外転させ、大腿筋膜張筋を短縮位にもっていけば、ベッドに大腿部がつく場合、大腿筋膜張筋が制限因子です。
最後に、股関節を外転して大腿筋膜張筋を短縮位に、
膝関節を伸展させて大腿直筋を短縮位にもっていっても、大腿部がベッドから浮く場合は、腸腰筋が制限因子です。
臨床では、二関節筋である大腿筋膜張筋-腸脛靭帯、大腿直筋が制限因子であることが多いです。時折、若い女性や腰椎分離症の学生で腸腰筋が制限因子であることも認めます。
股関節伸展制限(股関節前面筋の重度の硬化)があると骨盤前傾にて腰椎の前彎が強いLordosis姿勢を認めやすくなります。
次に股関節屈曲制限について述べます。
腰部の固定性に影響を与えるのは、立位姿勢での股関節の屈曲可動域です。
そのため、評価方法はPassiveでのSLRとなります。
それでは、どのくらい可動域があれば良好と言えるのでしょうか?
臨床では、上記を参考にし、SLR70°以上を良好な可動域としています。
ちなみにハムストリングスが硬化している人では、ハムストリングスの牽引にて骨盤が後傾して、代償的に前方シフトするSwayback姿勢が認められます。
臨床では、身長の高い男性や現場作業の人に多いです。
このように、股関節周囲筋の硬化が重度であれば、不良姿勢として見た目に現れてきます。
治療は、評価にて制限因子を詳細に把握し、リリースやストレッチをかけていき、柔軟性を出していきます。
そのため、制限因子の評価が間違っていれば、治療はすすまないため、上記の評価は非常に重要になります、
最後に、良好な立位姿勢の基準を示して終わります。
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