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緊急事態宣言で何が変わるのか

新型コロナウイルス感染症患者が増加しています。これまで新型インフルエンザ等対策特別措置法について色々書いてきましたが、改めて「緊急事態宣言」後に何が変わるか、を改めて整理したいと思います。

緊急事態宣言が行われる状況

政府の行動計画には、緊急事態宣言が行われる状況として「緊急事態措置を講じなければ医療提供の限界を超えてしまい、国民の生命・健康を保護できず、社会混乱を招くおそれが生じる事態であることを示すものである」と記しています。感染拡大を少しでも防ぎ、あるいは遅らせて、適切な医療を受けられない状態になったり、社会が混乱に陥るのを防ぐための社会への重要な警報といえます。

緊急事態措置

緊急事態宣言後に行われる「緊急事態措置」として大きく3つの措置があることは既に記載しております。

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まず「まん延の防止」についてですが、すでに外出自粛や学校休校など、既に色々知事などが言われれているではないか、と思われるかと思います。特措法では、都道府県対策本部長(知事)の権限として、「公私の団体または個人に対し、その区域に係る新型インフル等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる」としています。

不要不急の外出自粛要請

緊急事態宣言が行われると、地域や期間を指定して「不要不急の外出自粛」を要請することができます。全く家から外に出られないかというとそういうことではなくて、通院や食料品の買い出し、仕事に行くことは「不要不急」とはされていませんのでご安心ください。罰則はありませんが、国民は対策に協力する努力義務を負っていることにはご留意ください。

外出自粛要請下でも、通院や食料品の買い出し、仕事に行くことはOK
*追記(4/8): 4/7日付けで改正された基本的対処方針では「屋外での運動や散歩など生活の維持のために必要なもの」も外出の自粛の対象とならない外出の具体例として例示されました。


施設の使用制限

一方、多数の人が利用する施設の使用や、そのような施設で実施される催物については使用の制限がかかる場合があります。感染のリスクが高い施設については、積極的(学校、保育所等)に使用制限を行います。一方、社会機能維持に必要な医療機関や食料品売り場、銀行、保健所などは使用の制限は行わず、感染対策をしっかり行うよう要請します。そのほかの施設については、まずは感染対策などをしっかり行うよう要請を行なった上で、それでも対策に協力が得られない場合には施設の使用制限を行うことになります。さらには「指示」という形で法的義務を課せられる場合もあります。このような使用制限が行われる場合は、施設名等も公表されることになります。例えば「3密」と呼ばれるようなリスクの高い場になりうる施設などは、このような形で使用制限が行われることもありえます。

施設が使用できなかったり催物が中止させられることがある。
ただし、店などが全部閉まるわけではない

医療体制の確保

緊急事態宣言が出されるような状況では、医療提供体制が相当逼迫している状況が想定されます。そのような状況下では、病院以外の施設(ホテルや公共施設)を臨時に使用しなければいけないような状況が想定されます。そのような場合、この「臨時の医療施設」という形で、平時に必要とされる施設の要件が緩和されて、迅速に設置することができます。

緊急事態宣言=都市封鎖ではない

ここまで読むとお分かりかもしれませんが、緊急事態宣言が行われても、全く外に出られなくなる、とか、どこにも移動できなくなる、とか、仕事に行けなくなる、とか食料を買えなくなるような状況になるわけではありません。いわゆる「都市封鎖」とか「外出禁止令」とは異なるものです。焦ってはいけません。

ただ、感染の急激な拡大を防ぐためには、社会でのヒトとヒトとの接触を大幅に減らす必要があります。「オーバーシュート」と呼ばれる現象を防ぐためには、「3密」と呼ばれるような場を避けるのはもちろんですが、加えて、今まで人に接する機会が1日に10あったとすれば、それを2ぐらいに減らす努力を社会全体で行う必要があります。仕事を行うにしてもテレワークに移行する、時差通勤などで混雑を緩和する、など、社会全体での努力が必要になってきます。緊急事態措置が実施されているような地域との行き来も、感染拡大を避ける観点から極力避けるべきです。

Googleのデータでは、東京では外出・仕事等が抑制されつつありますが、全国的にはまだ努力が必要です。

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スライド1

下図:Googleが公開したCOVID-19 Community Mobility Reportsに基づき3/29現在のデータから地図上に表現。娯楽関連施設(Retail & recreation)、食料品店やドラッグストア(Grocery & pharmacy)、公園(Parks)、公共交通機関(Transit stations)、職場(Workplaces)、住宅(Residential)の分類を用い、これらの場所に平時(baseline)と比較してどれくらい人がいるか、%のデータを色で示した。
緑:平時と比べてその場所に人が少ない
黄:平時と同程度
赤:平時と比べてその場所に人が多い
提供:新潟大学大学院医歯学総合研究科 菖蒲川先生・ 東北大学環境科学研究科 永田 先生

先にも述べたように、緊急事態宣言が出されるような状況は医療崩壊や大きな社会の混乱も見込まれる状況です。行われる措置がこれまでと大きく変わるわけではありませんが、これまで以上のまん延防止のための対策への協力が皆に求められる状況下であることは理解して行動する必要があります。

「緊急事態宣言」で何が起きるか、については東京都知事からも明確に述べられているようですので、こちらもご参照ください。





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国立保健医療科学院健康危機管理研究部長。専門分野は感染症危機管理。見解は所属組織を代表するものではありません。