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緊急事態宣言解除で何が変わるのか

注:基本的対処方針のほかに「移行期間における都道府県の対応について」という詳細な事務連絡が出たので、内容を一部修正しましたのでご了承ください。

4月7日に7都道府県に発令された緊急事態宣言は、4月16日には全国を対象地域に拡大しました。また、当初5月6日までとしていた期間を、5月31日まで延長しました。その後、流行が各所で落ち着くにつれ、順次対象地域を縮小してきました。そして本日、全ての都道府県が緊急事態措置を実施すべき区域に該当しないこととなった、として緊急事態宣言が解除されました

ここまで感染拡大を抑制することができたのは、市民の努力の賜物ですが、世の中から新型コロナウイルスが消え去ったわけではありません。いわゆる「第二波」への備えが欠かせません。また、外出自粛や施設の使用制限等も、経過をよくみながら、段階的に解除していく必要があります。ゆくゆくは"リスクに応じた最小限の対策"が理想ですが、まずはそろり、そろり、と。7月31日までを「移行期間」とすることとなりました。

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図 The COVID-19 Chronicles「ガードを下ろしてはいけないよ」
右上:「やったわ!ゾンビをやっつけたのよ!」
左中:「やった!コミュニティの感染者が減っている。シンガポールはサーキットブレーカー(緊急的な社会活動停止措置)を緩めるようだ」
右中:「やあ!ウイルスはいなくなったぜ!ちょっとルール破ってマイクの家でちょっと集まろうぜ」
左下「キャー!ゾンビが生きてたわ」「そんなに早くか!」
右下「状況は良くなっています。でもまだどこで感染したかわからない感染者がいます。新しいクラスターができているかもしれません。ルールを守って、ガードは下ろさずに」

制度的な違い

諸外国での流行は続いています。あくまで、国内で緊急事態宣言が解除されただけです。新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく新型コロナ対策も継続しています。社会として警戒を続けていかなければなりません。

緊急事態制限の解除により、制度的には、主には、対象都道府県に与えられた特措法32条以降に定められた緊急事態措置を行う権限が無くなることになります。細かく言えば、都道府県知事が、期間と区域を定めて外出自粛要請を行う権限や、施設やイベントの使用制限を、要請・指示する権限がなくなります。ほか、市町村対策本部も法的に立てる義務はありません。しかし、特措法に基づく政府対策本部は残っていますので、緊急事態措置以外の特措法部分は以前有効です。今後は、状況に応じて、特措法24条9項に基づき「必要な協力の要請をすることができる」という権限を使いながら、都道府県知事が地域の対策を行なっていきます。また、流行状況によっては再び緊急事態宣言が発令されることもあり得ます。

復習:新型コロナ対策:緊急事態宣言と緊急事態措置①まん延の防止に関する措置

復習:緊急事態宣言で何が変わるのか

段階的な社会経済の活動レベル引き上げ

緊急事態宣言が解除された後について、基本的対処方針には以下のように記載されています。

"一定の移行期間を設け、外出の自粛や施設の使用制限の要請等を緩和しつつ、段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていくこととなる"

具体的には、5/25から7/31までの約2ヶ月間(延長もあり得る)を「移行期間」として、「感染の状況を確認しつつ段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていくこととする」となりました。

概ね3週間ごとの段階的緩和の方針が示されており(下図)。
①  6月1日 
② 6月19日
③ 7月10日

からそれぞれ段階的に、外出自粛、催物(イベント等)の開催制限、施設の使用制限の要請等について緩和することとしています。

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図 段階的緩和のステップ
詳細は内閣官房新型コロナウイルス対策推進室長事務連絡(5月25日)
をご参照ください。

全体的な指針であり、また、外出自粛や休業等の要請は、都道府県知事がそれぞれ行っています。そのため、個々の都道府県に実際の運用は任されるところであり、地域の流行状況を評価しながら進めていくことが重要です。

また、地域の流行状況が変われば、イベントを行うことによるリスクも変わります。まず、「都道府県はできる限りその判断基準や考え方をあらかじめ設けておくこと」とされています。地域の感染状況をよくみながら、感染拡大の傾向が見られる場合には、自治体は速やかに対策や体制を切り替える素早さが求められます。そのためには、自治体内の連絡手順等を整備しておく必要もあります。地味ですが、危機管理として非常に大事なことです。また、状況をタイムリーに正しく市民に伝えていくことが重要です。

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議
「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(令和2年5月14日)より
「各都道府県は、緊急事態措置の対象地域から外れた場合においても、定期的なモニタリングを欠かすことなく再度の感染拡大への警戒を継続すべきである。そのため、 住民にホームページ等で分かりやすく情報提供を行い、 必要に応じて感染拡大への警戒を呼びかけるとともに、感染拡大が見られた場合に迅速かつ適切に対応を行うことができるよう、対策本部等自治体内の連絡手順や体制切替えの手順等を準備しておくべきである。」

事業者は様々なガイドラインを利用して、工夫を凝らしながら、みんなが安心して利用できるように、安心して参加できるように、リスクを忘れずに対策を行なっていくことが重要です。

医療・公衆衛生の緊急事態は終わったのか

緊急事態宣言が解除されて何が変わるのか。夜までレストランが営業するようになったり、徐々に色々なお店や施設が開いて、イベントも小さなものから行われ、街に人が戻ってくるでしょう。楽しい社会生活を徐々に取り戻しつつも、どこかで警戒する心は忘れずに。もう少し辛抱しつつ、感染対策を生活の中に織り込んで、コロナに罹りにくい社会、そしてコロナが拡がりにくい社会を作って、罹ってしまっても安心して医療が受けられる社会でありたいと思います。

ひとまず、医療の提供体制や調整体制の一定の目処はついた、ということで解除にもなった訳ですが、今後いかにこの仕組みを機能的に維持していくか、がチャレンジです。そして、今回以上の大波が来てしまった時のプランも考えておく必要があります。公衆衛生体制はITの活用などによる業務効率化が鍵となるでしょう。よりスマートな公衆衛生へ進化する機会としなければなりません。

また、"いつもの"医療・公衆衛生も取り戻していかなければなりません。今は色々と無理しています。ワクチンの接種率が低下している、という報道があります。予定手術や治療を先延ばししてた方もいらっしゃるでしょう。メンタルヘルスも「解除」で気が抜けたりした時にも要注意です。

改めてもう一度

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図 The COVID-19 Chronicles「これまでの努力を無駄にしてはいけないよ」
右下「サーキットブレーカーの終わりが見えてきました。でも油断せずに、やるべきことを守っていきましょう。そうでないと感染者が増えて、これまでの努力を無駄にすることになります」
*サーキットブレーカー(緊急的な社会活動停止措置)
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国立保健医療科学院健康危機管理研究部長。専門分野は感染症危機管理。見解は所属組織を代表するものではありません。

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