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母、天国へ(2) ~介護と癒し~

「あっ」という一瞬があり、あまりその後の記憶がありません。

涙は時折こみあげてくるものの、ドラマのシーンでよくあるような「わーー」と感情をむき出しにして泣いた記憶もありません。

ただただ、感慨深いような感情が10分ほどあり、その後ナースコールを押しました。

「亡くなったと思います」

介護スタッフさんに伝えると、「少々お待ち下さい」と言われ、その後主任の看護師さんが部屋にやってきて、聴診器を母の胸にあてました。

私の腕のあたりにそっと手をおいて、「先生に連絡します」とおっしゃって下さいました。

エンゼルケアと死亡確認

「先生が今、往診にまわっていらっしゃるので、こちらに来られるのが14時すぎになりそうです」

看護師さんから医師の訪問可能時間を教えていただき、じゃ、その間に何を優先すればいいの?と。

事前に少しはシュミレーションはしていたものの、いざその時となるとあわてるものです(汗)

先にお寺に電話をしてご住職の予定を聞いて、その後に葬儀社に電話して、会社にも連絡して・・と。

今度は喪主の役割が台頭してきて、メソメソしている暇なしです。

そして、医師の訪問が約2時間半後となると、体が固まってしまうということで、看護師さんが先にエンゼルケアをして下さることになりました。

こちらも母が好きだった服を持ってきてもよいということだったので、事前に準備していたものをお渡ししました。

最期に着る服。

服を選ぶ時、亡くなるなんてリアルに思ってはいないかったけれど、母だったらこんな服を着たいだろうか?と試行錯誤して決めたコーデ。

キュロットスカートは、一緒に買ったけれど、大切においていて着ることのなかったものを選びました。

それに合わせた色合いのトップ。

靴下は妹が買ったもの。

数年間は、ユニクロやモンベルやゆったりして、着やすい服をずっと着てもらっていたので、久々のお洒落さんのファッションでした。

母が使っていた化粧品ポーチの中のもので、妹が薄化粧を。

時間が経つにつれて、血の気がなくなっていって、白い肌に薄化粧が本当によく似合っていました。

今思うと、不思議

施設の看護師さんから早朝に連絡があった日(その日が母の命日となるのですが)、電話が鳴る以前から、私はすでに覚醒しているような夢を見ているような感じでした。

そして、母の人生が走馬灯のように思い出されたのです。私が生まれる以前も含めて。

介護に携わるようになってから、私は「臨死体験」や「死後の世界」といった分野の本にふれることが多くなりました。

その中に出てくる、いわゆる「死ぬ間際の走馬灯」(臨死体験の経験者が一般的に多く体験する、自分の人生で起きた過去の出来事が次々と現れては消えるフラッシュバック現象)に似たような感じ。

こんな、自分以外の人の人生でも、こんなことがあるのだろうか?

今思うと不思議です。

そして、母を一番感じられた瞬間。

亡くなった次の日にお通夜を執り行うことができたのですが、その会場に行くタクシーの中。

助手席に乗っていた妹が、後ろの私を振り返り、前を指さしています。

見ると、虹。

綺麗な、かわいらしい虹。

ほんの一瞬の出来事でした。

「あ~~母だ!」

生前から、私は母に、「亡くなったら、私に分かるように合図をちょうだい!」と頼んでいました。

母は亡くなっても、しっかり私との約束を果たしてくれている。

最期、妹が母の元に来るまで、待っていてくれました。

そして、あちらに行っても、しっかり見守ってくれているのね。

斎場に到着すれば、葬儀の打ち合わせ。

しっかりしなくては!

でも、涙が止まりませんでした。

#介護 #癒し #母 #大好き  #誤嚥 #吸引



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