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第11回 【図解】これがブッダ・メソッド

“ストレスを手放し、心を解放しよう!”シリーズの第11回です。
“苦しみから解放されるためには、どうしたらいいのか“
そのために、ブッダ・メソッドによる苦しみから解放される方法を説明してきました。
特に、わかりやすいようにポイントをまとめたものを図にしてきましたので、今回はその作成した図をもとに、図解として『ブッダの教え』をまとめてみたいと思います。

STEP1:苦しみから解放される正しい知識と理解

(1)苦の原因とは何なのでしょうか?

苦しみとは

誕生は苦である。
老いは苦である。
病は苦である。
死は苦である。
心地のよくないものと関わることは苦である。
心地よいものから離れることは苦である。
欲するものが得られないことは苦である。

そして、ブッダは言いました

5つの集合体への執着は苦である。

苦を生み出す原因

この5つの集合体とは、からだというプロセス、それに4つの心のプロセス(意識・認識・感覚・反応)、つまりこの5つのプロセス(過程・現象)のことです。

(2)なぜ苦しみは生まれてくるのでしょうか?

私たちは日々の中で、好き・嫌いという思いを繰り返し、それに執着し、渇望や嫌悪を生み出しています。この『執着』こそが、苦を生み出す原因です。
執着が大きければ大きいほど、苦しみも大きくなります。
この執着を、タンハー(Taṇhā)と言います。

taṇhā(タンハー)とは、「渇いている」「満たされていない」「ほしい」という生命の根元的な欲望で、渇愛(渇き・渇望・貪欲)と訳されています。

このタンハーが、心に汚濁・穢れであるサンカーラを生み出していきます。

五感と心の6つの感覚器官が何かに接触するとき、
心の4つのプロセスが瞬間に働き、
それを心が感じ取ります。
その反応が繰り返えされて強化されたとき、
執着が生まれ、苦しみが生まれます。

心の働き02

苦を生みだす原因は、身体の感覚に無意識に反応・反発し、渇望や嫌悪を生み出し、執着を生み出す心の習性、心の癖にあります。

ブッダは言いました

苦が生まれる原因は、執着である。
・感覚的な快楽への執着
・「わたし」「わたしのもの」への執着
・自分の意見や信念に関する執着
・儀式や儀礼への執着

(3)どうしたら苦を生み出さないようにできるのでしょうか?

心はたえず反応しています。
この流れに盲目的に反応し、この流れを繰り返し、「苦の車輪」がどんどん回り始めています。

私たちは自分が反応していることに気づいていません。
何に対して反応しているのかも気づいていません。
心の働き、心の癖、心の習慣を知らないから、やみくもに反応を繰り返し、それを強めてしまいます。

ブッダは言いました

あらゆる苦は、反応より生じる。
反応が止滅すれば、苦も止滅する。
           (ブッダ)

苦の車輪を止める

苦を生み出さないようにするためには、「苦の車輪」が回り出すのを止めればいいのです。

苦は消滅させることが可能である。
・反応しないこと
・新しい渇望や嫌悪・執着をつくらないこと

(4)どうしたら苦を滅することができるのでしょうか?

心の汚濁であるサンカーラを取り除くために行うのが、ヴィパッサナー瞑想です。

身体のどこかに必ず現れる「感覚」に気づくこと
心は平静なままで、快・不快の反応をしないこと
「感覚」が生まれては消えていくことを、客観的に観察すること

平静な心で、反応せずに、ただ観察していると、自然にサンカーラが消滅していきます。

無知が止滅すれば、反応が止滅する。
反応が止滅すれば、意識が止滅する。
意識が止滅すれば、心と物が止滅する。
心と物が止滅すれば、6つの感覚器官が止滅する。
6つの感覚器官が止滅すれば、接触が止滅する。
接触が止滅すれば、感覚が止滅する。
感覚が止滅すれば、渇望と嫌悪が止滅する。
渇望と嫌悪が止滅すれば、執着が止滅する。
執着が止滅すれば、生成のプロセスが止滅する。
生成のプロセスが止滅すれば、誕生が止滅する。
誕生が止滅すれば、老と死が止滅する。
さらに、嘆き、悲しみ、心とからだの苦しみ、諸々の苦難が止滅する。
こうして、ありとあらゆる「苦」が止滅する。
(ブッダ)

そして、ブッダはこの苦を消滅させるための道『8つの聖なる道』を私たちに示してくれています。

正しい理解から正しい思考へと進み、
正しい思考から正しい言葉へと進み、
正しい言葉から正しい行為へと進み、
正しい行為から正しい生活へと進み、
正しい生活から正しい努力へと進み、
正しい努力から正しい気づきへと進み、
正しい気づきから正しい精神集中へと進み、
正しい精神集中から正しい智慧へと進み、
正しい智慧から正しい心の解放へと進む。

8つの聖なる道

ブッダは信仰ではなく、実践の方法を教えてくれたのです。

(1)~(4)にある苦に関する4つの真理を『4つの聖なる真理』と言います。

※これを仏教用語では、四聖諦(ししょうたい)といい、4つの基本的な真理をそれぞれ「 苦諦・集諦・滅諦・道諦(苦集滅道)」と言います。


STEP2:ヴィパッサナー瞑想の実践

苦しみから脱し、心を浄化し、心を解放していくのがヴィパッサナー瞑想です。
ヴィパッサナー瞑想で心を浄化していくために不可欠になるのが、『サマタ瞑想』と『慈悲の瞑想』になります。

3つの瞑想法

(1)サマタ瞑想の実践

ヴィパッサナー瞑想でのサマタ瞑想は、アーナーパーナ・サティ(呼吸による気づき)になります。

これは、心を鎮め、精神集中を高め、気づきを育むことを目的に行う瞑想です。

呼吸の瞑想

アーナパーナサティ

呼吸をコントロールせずに、自然な呼吸に意識を置き、鼻の孔から入ってくる息、出てゆく息、そこに集中します。
自然な呼吸を観察し、気づき(sati/maindfulness)を育みます。

心を浄化させていくために、ヴィパッサナー瞑想を行います。

からだに生じる感覚に気づけるようにならなければなりません。

そのためには、身体に生じる微細な微妙な感覚を観察し続けて、その感覚に心の焦点を合わせ、心がブレないようにしっかり固定し、心の平静を保ち続けることができなければなりません。

・心を鎮め、心の平静さを育むこと
・精神を集中させること
・気づきを育むこと
・自分の心をコントロールすること

(2)ヴィパッサナー瞑想の実践

アーナパーナ・サティが少しでもできるようになれば、いよいよヴィパッサナー瞑想の実践です。

ヴィパッサナー瞑想は、全身すべての感覚を観察していきます。

しかし、全身すべての感覚を一斉に観察することはできませんので、観察する範囲を決めて、そのエリアを動かしながら、全身を順番に観察していきます。

ヴィパッサナー瞑想-1

ヴィパッサナー瞑想の手順

どんな感覚が生じても、平静な心で、反応せずに、ただ観察します。
全身すべての感覚を観察します。

頭のてっぺんから始めて、少しずつ意識を下に動かし、つま先にまで移動させます。つま先に至ると、今度は、つま先から頭のてっぺんにまで移動させます。
からだの表面から内側へ、からだの内側すべて、からだと心のすべてを観察していきます。

超音波(エコー)検査やCT・MRI検査で全身を順番にスキャンして、観察していくようなイメージです。


STEP3:ヴィパッサナー瞑想を通じて智慧を育む

心を浄化し、苦しみから解放されることを目標に、ヴィパッサナー瞑想を学んでいます。
学ぶ段階には、次の3つの段階があります。

第1の段階:ただ単にヴィパッサナー瞑想のテクニックを学ぶ段階
第2の段階:それを実際に修行する段階
第3の段階:究極の真理に至る段階

心を完全に浄化していくためには、ヴィパッサナー瞑想を通じて、『智慧』を育み、真理を悟る必要があります。

そのためにも、次の4つの真理を観察します。

・からだについての真実を観察する
・からだの感覚についての真実を観察する
・心についての真実を観察する
・心の内にあるものについての真実を観察する

今この瞬間に起っていること、自分のからだと心に起こっている現実をありのままに見つめ、その奥にある真実を観察していきます。

さまざまな角度から現実のあり様を観察し、表に現れる真実を貫くように、浸透するように観察し、深く探求していきます。
分解し、分割し、バラバラにしていきます。溶解させていきます。

自分自身で体験し、真実を観察し、『智慧』を育むことです。

ブッダは、

どんなに知的なゲームや信仰ごっこにいそしんでも、自分自身で真実を体験し、その体験から智慧を育てていかない限り、解脱することができない

ことを発見したのです。

そして、

からだと心の全領域には、次の3つの基本的な性質があること
この3つの性質の真理を悟ることより、心の奥深くにある微細なすべてのサンカーラを滅することができ、初めて心が浄化されること

を発見したのです。

智慧を育む

自分自身で体験し、4つの真実の観察を通じて、この3つの性質の『智慧』を育むために、ヴィパッサナー瞑想を行います。

そして、この3つの性質の真理を悟ることより、心の奥深くにある微細なすべてのサンカーラを滅することができるようになり、心が浄化されます。

ブッダ・メソッドのエッセンス

苦から解放されるために、心を浄化するために、『智慧』を育むために、必要となるブッダの教えのエッセンスをまとめてみました。

ブッダメソッドの要


この真理を悟ることにより、心は完全に浄化され、苦しみが消え去り、真理の道を歩み、ニッバーナ(涅槃)に至るそうです。

なお、これらブッダの教えである真理すべてを『ダンマ(dhamma)』といいます。
ダンマとは、“心の奥にある真理であり、自然の真理・自然の法則・自然の摂理、永遠不変のもの、ことわり“のことです。
さらに、悟りを開いた人の教え、ブッダの教えのことを言います。

※ダンマという用語は、とても幅広い意味を持つ言葉です。
そのため、ダンマという用語を使用すると、解釈が難しくなりますので、ここでは使用していません。


さいごに

ここでまとめたものは、私が8年間ヴィパッサナー瞑想を実践していて理解した今現段階でエッセンスをまとめです。

心を完全に浄化し、ニッバーナに至るには、まだまだ長い道程があります。
そのための教えもあるのですが、私は体験もしていませんし、説明することもできません。

私がストレスだらけで、苦しみ、どうしようもない時を乗り越え、今こうしていられるのはヴィパッサナー瞑想に助けられたおかげです。

ただ、ヴィパッサナー瞑想が最初からうまくいったわけではありません。
20年以上前からマントラ瞑想やヨガの呼吸法瞑想などを実践してきてもです。
最初の数年間はうまくできなくて、本当に苦しみました。

そこで、“ストレスを手放し、心を解放しよう!”のマガジンでは、ヴィパッサナー瞑想に興味を持っていただけるように、少しでも理解しやすく、わかりやすいように、ポイントを絞った図解にして、書いてきたつもりです。

みなさんの少しでも参考になれば幸いです。

そして、すこしでもやすらぎが得られますように。

人生の浮き沈みに直面しても、
心が動揺することなく、
嘆くことも、悪意をいだくこともなく、
いつもやすらいでいる。
これが最大の幸福である
(ブッダ)

私の尊敬するゴエンカ氏がいつも最後に言う言葉

Be Happy
Be Happy

私はこの言葉大好きです。

私も、自分自身に、みなさんに言いたい

幸せでありますように



次回以降は、私がヴィパッサナー瞑想の体験を通じて感じた個人的な見解などを気軽に書いていきたいと思います。
よろしければ、“ストレスを手放し、心を解放しよう!”にフォローいただければ幸いです。


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