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なぜHDLコレステロールが「長寿因子」と呼ばれるのか
HDL(善玉)コレステロールが「長寿因子」として注目を集める理由をご存じですか?
今日は、我々が研究している「HDL」がどんなものなのかお伝えできればと思います。
HDLの主な働き
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まずはHDLが体内でどんな働きをするのか知ることからはじめましょう。
血管中の余分なコレステロールを回収する
血管壁に沈着した酸化LDL(悪玉コレステロール)を引き抜いて回収、体外に排出する
アルツハイマー病の原因「アルミロイドβ」の排出を促す
抗酸化作用・抗炎症作用がある
これらの働きがあることで、さまざまな病気リスクを低下させることもわかっています。
HDLが高いと病気リスクが低下する
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世界各国でおこなわれている研究で、HDLが高いことでさまざまな疾患のリスクが低下すると報告されています。
認知症リスクが63%減少
HDLが50mg/dL以上で老年期の認知症発症率が63%減少
心血管疾患リスクが40%減少
HDLが0.5mmol/L増加すると心血管疾患の死亡率が男性24%、女性40%減少
高血圧リスクが34%減少
男性はHDLが53mg/dL以上で発症リスクが34%減少。女性はHDLが67mg/dL以上で19%減少
脳卒中リスクが18%減少
HDLが1mmol増加すると脳卒中相対リスクが減18%減少
慢性腎臓病リスクが15%減少
慢性腎臓病のリスクが15%減少。
糖尿病リスクが13%減少
HDLが10mg/dL増加すると10年以内の2型糖尿病発症リスクが13%減
これだけ多くの疾患リスクがHDLによって低下することが報告されています。
また、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、これら疾患には日本人の死因の上位になっているものも含まれます。
HDL値を改善、上げることによりそれらの疾患予防に繋がります。これが、HDLが健康的に長く生きるための「長寿因子」と呼ばれている理由です。