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私とカレーと家族と

※こちらは2020カレーの学校アドベントカレンダーの12日目の投稿です。

こんにちは、カレーの学校4期の小西ともうします。
ことしもこの季節がやってきた。
書くのは3回目。
カレーの学校と出会って3年目の冬。

実は毎年、カレーと家族について書いている。
毎年書くことの効用があるとすれば、
カレーや家族との距離感が、
わかることかもしれない。

1年目は、カレーと密着していた。
カレーをつくるのがうれしくて、
家族に食べてもらいたくて、やけどした。
カレーもプレゼントもおしつけてはイケナイ。
そんな内容だった。

2年目は、遠くに見える蜃気楼のようなカレーを書いた。
「完璧なカレー(文章)などといったものは存在しない。
 完璧な(おいしさ)絶望が存在しないようにね。」
『カレーの歌を聴け』と題して、
村上春樹オマージュで
家族にとっておいしいカレーの考察をした。

そう、カレーとわたしの距離感は、
変化しつづけている。
家族との距離感も。
さて、ことしは、どんな距離になったんだろう。
ふりかえってみる。

カレーの学校では、生徒たち同士でゼミをつくって活動する。
わたしは「こどもスパイスカレーゼミ」だった。
こどもでもおいしく食べられることを目指していた。

1年目には挫折を味わい、2年目にはゼミの目的が揺らいだ。
そもそも、カレーが好きなのは私であって、家族ではない。
その家族にカレーを好きになってもらおうという発想自体がよくなかった。
それが、3年目の気づきでもあった。
たぶん、もっと前から気づいてたんだろう。
でも、認めたくない自分がいた。

あたらしいカレー体験をするまでは。

それから、カレーと適切な距離感を保てるようになったと思う。
いや、家族との距離感もと言うべきか。

ある夜勤明けの日。
カラダもキモチもおつかれだった。
そんなことを思いながらの帰り道。
開店直後の朝のスーパーに入った。

夜勤明けの日の過ごし方は決まっている。
家に帰ってカラダを休める。
そして、晩御飯をつくる。
というのが、ルーチンだった。
朝のあいだに買い物しておけば、
ゆっくりできる時間も多い。

夕方とはちがって、
朝のスーパーはキリっとしている。
店先に整列している野菜たち。
その先には鮮魚コーナー。
青々とひきしまったブリがならんでいた。

子どもたちは刺身が大好き。
これは買い!
サクとアラにしてもらった。

家に帰って冷蔵庫にしまう。
いつもなら、すぐにベッドに横になるけれど
すこし寒気もして寝つけない。

そんなときはカレーだ!
と思い立って、キッチンに移動。
最近、カレーつくってなかったなぁ。
そんなことを思う。
スパイスの残りを確認してみる。

ホールスパイスは、マスタードシードのみ。
クミンもカルダモンも使い切ったままだった。
パウダースパイスは、コリアンダー、クミン、チリくらい。

玉ねぎとトマトピューレはあった。
メインはアレしかない。
そう、アラ。ブリのアラ。

その途端に、おなかも減ってくる。
よし、つくろう!

よれよれのニンニクとショウガもあった。
油をひいて、マスタードシードを弱火にかける。
みじん切りにしたニンニクとショウガを投入。
うん、よれよれでもいい香り。
そして、くし切り玉ねぎを入れて塩をふり、強火に。

そのとなりでは、アラをさっと湯がく。
そして、すこし冷ましてから、身をほぐす。

玉ねぎがいい色になったらトマトピューレと
パウダースパイスを入れて、中火でまぜまぜ。

コリアンダー(大匙2位)、クミン(大匙1位)、チリ(小匙1弱位)
それくらいのテキトーな配分だった。
香りを嗅ぐだけで、すこし汗ばんでくる。
家族でたべるときにはチリは入れない。
みんな辛いのが苦手だから。

いい香りがただよってきたら、
フライパンに水を適量いれて沸騰させる。
そこに骨をとったアラを入れてひと煮立ち。
すこし醤油を入れて、塩も加えて味がくっきりするように。

だいたい1時間くらいキッチンに立っていたと思う。
夜勤明けで疲れているはずなのに、
寒気もしていたのに、
ブリアラカレーが完成したときには元気になっていた。

夜勤明けにカレーをつくったことが、
あたらしいカレー体験というわけではなかった。

ちなみに、ブリアラカレーの感想は、
控えめに言って、めちゃくちゃおいしかった。
思いつきの、ありあわせのカレーだったのに。
夜勤明けのカラダにしみた。

じゃあ、あたらしいカレー体験って??
それは、こういうことだった。
じぶんのためだけにカレーをつくった!

カレーとは別に、家族の夕食はつくればいいやと思えたこと。
家族にじぶんのカレーを食べてもらおうとしなかったこと。
はじめてのカレー体験だった。

そもそも出発が「こどもスパイスカレーゼミ」だっただけに。
こどもにカレーを食べてもらう前に、
じぶんの食べたいカレーは、じぶんひとりで食べたらいい!

ザ・ディスコミュニケーションカレーの誕生だったかもしれない。
それはそれでいいんです。
他でコミニュケーションとればいいんです。

カレーと、家族と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
来年も、こんなこと書くのか‥‥!?

(注)家族が危機的な状況ではございませんのでご安心を笑。

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