はじめてのいけばな (19/40)
6月6日は、いけばなの日でもあるらしい。
そんな日に、うまれてはじめて、いけばなをした。
机のうえには、水をはったお皿?のなかに剣山があって、ハサミと何種類かの草花が用意されている。
先生がお手本をパパッとつくってみて、あとはご自由にのスタイルだった。
わたしの机には、上下黒の服にシルバーのアクセサリーが目立つツーブロックロン毛の先生がついてくれた。
いけばなのイロハもわからないわたしの質問にも笑顔でなんでもこたえてくれるナイスガイは、このことばをくりかえしていた。
「なにを伝えたいのかが大切!」
いけばなで、伝えたいことってなんだろ?
わからない。
なかなか手がうごかない。
だけど、じっと考えつづけるわけにはいかない。
わからないけど、とりあえずまんなかにたててみる。
「いいですね!」
すかさずほめてくれるナイスガイ。
そんなことばではずみがつく。
やることなすこと、ほめるほめる。
ほめながら、たとえばなしをしてくれる。
「アバンギャルドは、「エル・ブリ」のメロンのキャビアとおなじで‥‥」
?????
わけのわからないアドバイスも、じっくりきけばなるほど! と思えてくる。
けっしてこうすればよくなると言わず、ヒントをだしてくれる。
「無人島にあなた一人だけ男で、あと女性だったら‥‥」
?????
わからないようなわかるような、壮大なスケールでいけばなを伝えてくれようとするナイスガイ。
じぶんがいけばなでなにを伝えたいのか? さいごまで言葉にすることはできなかったけれど、なんとか完成させることができた。
はじめてのいけばな体験は、ドキドキの連続だった。
なにを生けるか? 長さは? 角度は? 向きは? ちょっとちがうだけで、ぜんぜんちがってみえてくる。
そのすべてをじぶんできめる。
おおげさなことかもしれないけれど、ひとつまちがえればすべてがだいなしになってしまいそうなドキドキ感がずっとあった。
それから、この花は、この長さで、この角度で、この向きに生ければいいんだとわかって、さいごのピースをはめる瞬間のドキドキ感はなんとも言えないものだった。
さいごに、うしろ向きの花を生けた。
うしろ向きの花‥‥作品のさいごのピースにはそれしかないと思っただけなんだけど、いま思うと、なんだか意味深だ‥‥。
ま、これが、言葉にはできないわたしが伝えたかった作品ということになるので、よしとしよう。
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