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相手の期待値を上げ続けて苦しんでいないか

感動は期待を超えたときに生まれる。

企業で働いているとよく言われる言葉である。
顧客に満足していただくためには
顧客が求めるものを提供するだけでなく、
感動も提供することが重要だと言われる。

ではそんな感動はどうやって
得ることができるかというと、
顧客が期待したものを上回る
商品やサービスを提供することで
初めて得られるのだ。

京都ではよく走っているMKタクシーは
その一例であろう。

タクシーと言えばどれも似たような車両で
料金体系も会社間でそんなに違わないと
市場では認識されている。

しかし、MKタクシーはそんな市場の
一般的な期待を上回るために
ドライバーが車を降りてドアを開け閉めする
サービスを導入したのだ。

ドライバー付きの社長になったような
VIP感は顧客にとってまさに期待を上回る
サービスである。

少し前ではあるが、ビジネス目的で
来日した方と話しているときに
京都でドアを開け閉めしてくれるタクシーに
感動したという話をしていた。

まさに顧客の期待を上回ることで
顧客満足度を得た事例である。

しかし、これを各メーカーがやると
どうなるであろうか。

そのサービスは顧客にとって
当たり前のものとなり、
結果として期待のレベルが
上がってしまうことになる。

このような期待値の上昇が
市場の中で繰り返されると
サービスを提供する側は
徐々に苦しくなっていくのだ。

なぜなら、それまでは当たり前では
なかったサービスが当たり前になると、
それをしないということは
市場の中で期待以下のサービスもしくは商品しか
提供することができない業者に
なってしまうからである。

では、このような場合どうやって
顧客満足度を高めればいいのだろうか。

それは顧客の期待値をあえて少し下げることである。

先日自家用車を点検に出した際に
タイヤの摩耗が激しいと指摘を受けたので
昨日タイヤ交換のためにカー用品店を
訪れていた。

カー用品店で交換までしてもらおうと
担当者に待ち時間と所要時間を確認すると
今から20分ほど待てば対応可能で、
作業時間は約30分となるとのことであった。

ちょうど1時間ほどなら許容範囲内である。

その場で了承すると、タイヤの担当者が
交換するタイヤについて説明をしてくれた。

タイヤなんてしょっちゅう交換するものではない。
なので、選ぶポイントがわからなかったのだが
簡潔にとても分かりやすく説明してくれたので
スムーズに選ぶことができた。

そして、そこから車のカギを店に渡し、
待合室で待っていると、
10分も経たないうちに私の車が作業場に
入ってきた。

そして、作業が始まると目を見張るような
速度でタイヤが取り外されて、
新しいタイヤに付け替えられたのだ。

待ち時間が長くなるだろうと
ノートパソコンを持ち込んでいたのだが
それを開かせる時間がないぐらい
あっという間に作業が進み、
ものの10分ぐらいで作業者の方から
声をかけられた。

最後の締め付けは顧客に確認を
してもらう必要があるようである。

締め付けが終わりホイールカバーを付けると、
その作業員の方は
タイヤは時々前後の交換をすることで
交換頻度を下げることができること、
そしてタイヤの日常メンテナンスまでを
ごく簡単にではあるが教えてくれたのだ。

こうして文字でサービスの内容を
見てみるとあまり大したことでないように
見えるかもしれない。

しかし、私のカー用品店のイメージは
・作業だけを黙々とする
・待ち時間が長い
・接客があまりよくない

だったのでその期待を大きく上回ったのだ。

特に待ち時間については
正直1時間ぐらいは待たされることを
覚悟していたので、
今回事前に見積もりされた時間よりも
かなり早く完了したことは
私にとって非常に感動であった。

逆に早く終わると言われて
それよりも時間がかかった場合には
顧客の満足度を下げてしまう。

このバランスを見ながら
顧客に見積もりをすることは
感動を与えると言う意味では
非常に重要なことであると
昨日の経験を通して実感した。

顧客の期待値を下げすぎるのは
信頼を失う原因になるが、
上げる事ばかりに目を向け過ぎないように
意識をすることはビジネスを継続するうえで
重要なことである。

これはビジネスにかぎらず
個人においてもそうである。

ついつい相手に喜んでもらいたいと
サービスをしてしまういい人こそ
無意識のうちに相手の期待値を上げすぎて
苦しんでしまうものである。

自らの首をしめないためにも
期待値のコントロールは必要なのだ。

もしあなたがそれで苦しんでいるならば
あえて期待値を下げてみてはどうだろうか。


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