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発信とはタイムカプセルを埋めること

あなたは”まじっく快斗”という
漫画をご存じだろうか。

多くの方がご存じないだろうと思う。

何となくタイトルからは古臭い感じが
漂っているこの漫画であるが、
その主人公は実はよく知られた存在なのだ。

それは名探偵コナンに時折出てくる
”怪盗キッド”である。

まじっく快斗という漫画は主人公である
黒葉快斗が怪盗キッドとして活躍する話で
今から37年前(1987年)に週刊サンデーに連載が開始された。

名探偵コナンの連載が始まったのが1994年なので、
実はコナンが生み出される前から怪盗キッドは
存在していたということである。

そんな歴史の古いまじっく快斗であるが、
実はまだ連載途中の漫画でもある。

名探偵コナンが1994年に始まって
2024年6月15日現在で105巻なので、
さぞかしまじっく快斗も沢山単行本が
発売されているのかというとそうではない。

最新刊は2017年に発売された5巻である。

1~2巻は1988年に第一版が出て
3巻は1994年
4巻が2007年で5巻が2017年と
かなり飛び飛びで連載されているのである。

私はあまり漫画に詳しくないが、
こんなにも長期にわたって飛び飛びに
連載される漫画も珍しいのではないかと思う。

作者の青山剛昌さんからすれば
最初にまじっく快斗を書き始めて
書いている途中で名探偵コナン(1994)、
YAIBA(1988~1993)を同時に書き始めたので
まじっく快斗はどちらかというと
これらの有名な作品のスピンオフ的な
扱いになったのであろう。

その証拠に名探偵コナンにはある時から
怪盗キッドが時折登場するようになり、
今となっては怪盗キッドは話の中でも
結構重要な人物となりつつある。

特に名探偵コナンの最新の映画、
「100万ドルの五稜星」では
怪盗キッドとコナン(工藤新一)との関係が
示唆されるような終わり方であった。

先日この映画を観た後に
映画の中で示唆されたその内容が気になった私は
まじっく快斗を読み返してみることにしたのだが、
読んでいる中であることが気になり始めた。

それは怪盗キッドこと黒羽快斗の
キャラクターが少し変わったことである。

1巻で登場する快斗はお調子者で
女たらしな感じで描かれている。

見た目がコナンに出てくる毛利蘭に似ている
快斗の幼馴染、中森青子とは
お互いに恋愛感情などなさそうななれなれしい感じで
最初から接している。

そんな快斗は1巻でも最新巻でも
変わらずお調子者ではある。

だが、女性に対する態度が明らかに
1巻の頃と4巻ごろからは変わったような
印象を受けるのである。

具体的に何が変わったかというと
うまく言語化できないのだが、
なんとなく性別を意識させるような表現が
オブラートに包まれるようになったような
印象を受けるのだ。

この変化は名探偵コナンの影響が
大きいのは間違いないだろう。

コナンに出てくる怪盗キッドは基本的に
クールでカッコよく描かれるので、
その印象に引っ張られて快斗もクールな方向に
少しずつ変わっていったのであろう。

だが、それだけではなく
描かれた時代の変化もあると思うのだ。

最初に連載開始された1987年は
今から37年前。

いわゆるバブル期の真っただ中である。

この頃と今では明らかに性別に対する
センシティブさは異なるであろうし、
性別で区別をすることを極端に嫌うように
時代は変化してきた。

それに伴い、快斗は女たらしな印象が
少しずつ薄れてきてしまったのでは
ないだろうか。

ここ数年あまりしっかりとテレビ番組を
みなくなったが、
私達が子供の頃に放映されていた番組を
思い返してみると、
今ではとても放映できないだろうと思う内容が
結構混ざっていたと思う。

今となっては違法にアップロードされた
動画以外はそのような番組をみる方法はないが、
まじっく快斗のような漫画ならば
そんな昔の時代背景も含めて味わうことが
できるのである。

再びまじっく快斗を読み始めた私は
結局、映画の中でほのめかされていた伏線を
確かめるような証拠を見つけることは
出来なかったが、
その作品の中にちらほらと見え隠れする
時代背景を感じることができて面白かった。

私がこうして書いたnoteももしかすると
10年以上経って誰かが目にした際に、
「この人、こんな時代錯誤なことを言っている」と
思われる時がくるのかもしれない。

そう思うと、何かを書き残すことというのは
まさにタイムカプセルのようなものである。

まじっく快斗は青山剛昌さんにとっての
タイムカプセルであり、
このnoteの記事は私にとってのタイムカプセル。

タイムカプセルを埋める時に感じるワクワクは
それを掘り返した時を思うからに他ならないが、
こうして記事を書くことで
毎日タイムカプセルを埋めていると思うと、
何だか未来の自分に楽しみを残しているようで
とてもワクワクする。

ちょうど昨日の記事で毎日投稿が
連続1000日を突破したが、
未来の自分や誰かに少なくとも1000のタイムカプセルを
残したと思うと嬉しいものである。

まじっく快斗の最新刊がそろそろ出て欲しいと
願いながら、
今日も未来の自分へタイムカプセルを
残していこうと思う。

ちなみに私の好きな漫画
「じゃりン子チエ」も今ではテレビ放送が
難しい作品の一つであろう。

以前じゃりン子チエを家族で見ていたとき
子供たちが
「なんでチエちゃんはお酒飲んでええの?」
「ヤクザの人ってこんなにいてるの?」
「チエちゃんは何でお父さんのことテツって呼ぶの?」
などと聞いてきて答えに窮してしまった。

そう思うと子育てをする環境も
私たちの頃とは劇的に変わったものだと
改めて感じさせれた。

チエちゃんが育ったような時代に
懐かしさを覚えるのは
私が歳をとった証拠なのかもしれない。


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