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素振りをする青年を見て想う

最近息子は時々K君の家に遊びに行く。

K君とはこれまであまり同じクラスには
ならなかったのだが、
5年生で同じクラスになり、
急に意気投合したらしい。

先日もK君の家に遊びに行った際、
K君の隣の家で高校生ぐらいの青年が
野球の素振りをしている姿を見て
「パパ、あれって何のためにするの?」と
聞いてきた。

私は野球は全く経験したことはないが、
恐らく素振りは正しいフォームを固めたり、
ヘッドスピードを速くして打撃力を
高めたりする効果があるのではないかと思うので
そう答えると息子は納得した様子であった。

実は私も高校生の頃、毎日夜に素振りをしていた。

私の場合は剣道であったが、
家の前の道で毎日300~500本ほど素振りをするのが
習慣の様になっていた。

もちろん、昼間は稽古もしているので
トータルで見れば相当竹刀を振っていたことになる。

この習慣は高校1年生の後半から引退するまで
約1年半ほど継続していたのだが、
その効果があったかどうかは
私自身正直わからない。

剣道ではそんなにいい成績を残せたわけでもなければ、
素振りをし続けたことにより
打突が早くなったという実感もなかったからである。

では、私はなぜ毎日素振りを続けていたのか。

それは自分が前に進んでいるという実感が
欲しかったからである。

中学校の頃に同じ部活で稽古していた仲間が
強豪校に入り自分よりも強くなっていくのを
目の当たりにして、
自分も彼らに追いつくために何かをしていたいと
当時の私は思っていた。

だが、今になって振り返ってみると思うのだ。

前に進むための選択肢として
素振りではなく違う行動を選んでいたなら
もっと成果が出たのではないか。

私は毎日300~500本の素振りをするのに
だいたい30分ぐらいの時間を毎晩使っていた。

しかし、私が本当に強化せねばならなかったのは
竹刀を振る速さではなく、
足さばきだったと今なら明確に言える。

当時からよく師範に言われていたが、
剣道の打突は手でするものではなく
足からするものだからである。

なので、もし今の自分が過去の自分に
コーチすることができるならば、
この30分を素振りではなく
足さばきや跳躍力を上げるための
トレーニングに切り替えるであろう。

タラレバの話をしても仕方がないが、
もしそうしていたならば、
結果は変わっていたと思う。

私がこう考えるようになったのは
私自身に知識が付いたことも
大きな理由の一つである。

実質大学生の途中から竹刀を握らなくなり、
それ以降はずっと剣道は見る専問になったが、
客観的に見ていると逆に当時の自分に
足りなかったものがよく見えるようになる。

しかも、今の時代は動画で色んなノウハウを
簡単に学ぶことができるので、
自分の課題点に応じた練習方法を見つける事は
誰でもできてしまうのだ。

もちろん素振りをし続けていた
当時の行動がムダだったとは思っていないが、
私は成果につながらない行動に満足し、
その結果、成果を得たり成長を感じたりという
大きな報酬を得ることができなかった。

今回野球の素振りをする青年の話を聞いて
本当に彼が時間を使える中でそれが
最適な選択肢なのか、
素振りをすることに満足していないか、
問いかけてみたくなった。

これは仕事も同じである。

忙しいことで満足して成果が出ていなければ
ビジネスは成り立っていかない。

今の私はまさにそんな状態に陥っている。

こういう時こそ、今自分が時間を使っていることが
本当に成果を出すために必要なのかを
問いかけてみるべき時なのだろう。

ちなみに家の前で素振りをしていると
近所に住むおじいちゃんがいつも通りがかって
私に話しかけてきた。

その話はいつも同じ。

陸軍の学校で剣道をしていたことがあり、
自分は結構強かったという話である。

1年半ほぼ毎日その話をあたかも初めて聞くかのように
聞き続けたわけであるが、
そのおかげで同じことを何度も話す方への
対応はとても上手くなった自負がある。

毎日素振りすることで得られたスキルは
実は剣道以外のところでも
色々活きているのかもしれない。

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