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気になる比喩表現

昨日妻と話していたときのこと。

自分が学生の頃にハマっていたアーティストの
話題になり、
妻は当時好きだったSOPHIAが出ている映像を
ビデオで何度も再生して見たという話をしていた。

当時はVHSが当たり前だったので、
繰り返し再生するせいか、経時によるものかはわからないが
録画した当初よりも映像が悪くなっていたらしい。

その時に私はふと
「まさにテープが擦り切れるぐらい見たんやな」と
妻に言ったのだが、
それを聞いていた息子はこの言葉が気になったらしい。

彼らは当然VHSもカセットテープも知らない世代なので
そもそもテープに記録されるという概念がない。

なので、この言葉の意味が分からなかったのだろうが
彼にはとても大げさな表現に聞こえたらしい。

実際、私も何度も繰り返し聞いた曲や映像はあるが、
テープが切れたという経験は一度もないし、
周りでもそのような話は聞いたことがない。

あくまでこれは比喩表現として使われている言葉なのだ。

せっかくの機会なので息子には
比喩表現について教えてやろうと思い、
このテープが擦り切れるという話をもとに
色々な例を挙げて教えてやることにした。

小学校4年生にもなると色んな言葉に出会っているので
「じゃあ、これもそうやんな」などと言いながら
自分が知っている例を挙げてくる息子。

日常の中から子供に学びを与えられると
何だか嬉しい気持ちになるのは親の特権だなと思いながら
息子と会話を終えかけたとき、
私の頭の中に昔から気になっていたフレーズが
ふと降りてきた。

それはKinki kidsの「ガラスの少年」の歌詞にある
「くちびるがはれるほど囁きあった」
というものである。

この曲は私が中学生の頃に流行ったので
願おうと願わざるとテレビやラジオをかければ
それこそ嫌と言うほど聞いた曲である。

当時の私は歌を聞くときに歌詞はあまり見ない派だったので
この歌詞についてもあまり深くは考えずに聞いていた。

しかし、大学生の頃にカラオケに行って
この曲を歌ったときに、
「ささやきあって唇が腫れるか?」と
疑問に思ったのである。

とはいえ、そんなことを考えたのは
一瞬の出来事。

この疑問は私の中で忘却の空へと
消えていった。

ところが、今回息子に比喩表現を教えたとき
実に20年ぶりに私の頭にあの疑問が
帰ってきたのだ。

そこで改めてnoteで考察してみることにした。

あの歌詞の前後は何と言っていただろうか。
調べてみると、

映画館の椅子でキスを夢中でしたね
くちびるがはれるほど囁きあった

「ガラスの少年」歌詞より抜粋

と書かれていた。

なるほど、これはささやき合うというよりも
キスを夢中でしたことによって
唇が腫れたと解釈すればいいではないか。

最初そのように思った私であるが、
それならば”くちびるがはれるほどキスしあった”と
率直に書けばいい気もする。

この歌詞では明らかに
くちびるが腫れるという事象とささやき合うという事象が
相関関係にあるように書かれているのだ。

これは一体なぜなのだろうか。

光景を想像してみた。

映画館の中で大きな声を出すわけにはいかないので
ささやき合う時には耳元で声を出していると
考えるのが自然である。

そして、ささやき合うというぐらいなのだから、
お互いに耳元に口を持って行って話す行為を
繰り返していたはず。

そう思った時に一つの仮説が浮かんできた。

もしかすると彼氏か彼女のどちらかが
耳にピアスをしていたのではないだろうか。

それも耳たぶならばささやき合ってくちびるに
触れることはないだろうが、
耳の上の方に付けたピアスならば
ささやき合う時に唇に触れるのではないか。

男性でもそのようなピアスをする人は
いるだろうが、
どちらかというと女性のほうが多いはず。

そう思うと、この曲の彼女は
結構大胆なピアスをしていた人ということになる。

何だか私が昔頭に描いていた絵と
少し様相が変わってきてしまった。

何となく純真無垢なカップルの絵が
頭に浮かんでいたのに、
そこに大胆なピアスは似つかわしくない気がするのだ。

しかし、そう考えない限り
”くちびるがはれるほど囁きあう”は解釈できない。

もしかすると私の想像が間違っていたのかもしれない。

ではこの曲に登場するカップルの女性は
耳に大胆なピアスをした人ならば
どんな風貌の人なのだろうか。

頭の中の想像を修正するために
私の頭Googleで「大胆 ピアス 女性」と
検索をかけてみることにした。

すると、この人が1位でヒットした。

ちなみに他の検索候補は出てこず。

結局私の頭の中のイメージ修正は
上手くいかないまま、この議論は終わることになった。

この歌詞を書いたのは作詞家の松本隆さん。

どうやら調べてみると神戸を中心に生活されているらしい。

そんなに遠くない場所にいる松本さんに
どのようなイメージだったのか
聞いてみたい今日この頃。

少なくともあの人のような女性では
なかったことを願うばかりである。

あなたも気になっている比喩表現があれば
ぜひコメント欄で教えてほしい。


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