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恥かきバトンをつなげ

先日部下と目標についての面談をした。

恐らく多くの会社でも採用されているように
年度初めに立てた目標に対して
どのような進捗状況であるかを確認し、
上手く進んでいなければ何をどうすればいいのか
話をしながら導くための面談である。

私の働く会社は外資系企業ということもあり
目標の一つに英語に関するものを掲げる人が多く
部下もまさにそうであった。

目標設定の時にももちろん面談をしたうえで
何をどうするのかを考えながら決めたので
先日の面談ではそれがちゃんと履行出来ているかを
確認したのだが、
部下曰く、あまり思ったように進んでいないという。

ここ最近忙しくなかなかまとまった時間を
作ることが出来ていないというのが、
部下の弁明である。

どの学習も然りであるが、特に語学学習は
日々細々ながらもいかに継続的に積み上げられるかが
とてもカギになると私は思っている。

私も決して忙しくないわけではないが、
日々必ず英語には耳と目で一定量は
必ず触れるようにしているし、
そうしないと下りエスカレーターのように
能力は落ちてしまうと思っている。

なので、部下にほんの5分だけでもいいから
毎日時間を作って、
継続するようにアドバイスをした。

すると、部下からこんな質問が出てきた。

「〇〇さん(私の苗字)はいつから英語が
話せるようになったんですか?
毎日勉強していたら
ある日突然聞けたり話せたりするように
なったんですか?」

私は決して自分では英語が得意だとは
思っていないが、
社内でみれば間違いなく話している部類である。

部下から見れば私は英語が得意に見えるのだから
あえてそこは否定せず
目標としてもらうのも悪くない。

だが、言われてみればこの質問は
私も答えがよくわからないのだ。

英語を聞くほうは突然聞けるようになったわけでは
決してない。

一時定期的にTOEICの試験をうけて
勉強をすることを繰り返していた時期があり、
その時期にリスニングを伸ばすための
トレーニングをして、
徐々にリスニングのスコアが上がったので
私が今のレベルに至るにあたっては
気が付いたら伸びたというわけではない。

だが、スピーキング力については
私もいつから話すことが苦手では
なくなったのかというと、
よくわからないのだ。

正直にいうとリスニングのように
スピーキングを伸ばすための勉強は
特段何もしていない。

だが、間違いなく今の会社に入社した頃よりも
私は話せるようになっている。

これは一体なぜだろうか。

そうして思い返したときに
一つ思い当たることがあった。

それは英語でプレゼンテーションをする機会に
恵まれたことである。

定期的に開催される会議で
進捗報告、今後の課題と取り組みについて
海外法人のメンバーたちに発表するプレゼンを
数年前から私がするようになった。

初めてしたときには大変緊張したし、
正直今から思えばヒドい発表であったと思うが、
そんな拙い英語であっても
参加していた海外法人の人たちは内容を理解し、
コメントまでくれたのである。

その経験から、私は間違いを気にせず
思い切って英語を話せるようになった気がするのだ。

もちろん今でも「これで通じるかな?」と
不安に感じることは多々あるし、
伝わりやすいような表現を事前にしっかりと調べて
プレゼンに臨むようにはなったが、
仮にうまく伝わらなかったならば
別の言い方で伝わるまで話せばいいだけだと
割り切れるようになった。

私が今のレベルで英語を話せるようになったのは
これが理由だという結論に至ったところで、
私は部下にある提案をした。

それは、私がこれまでやってきた海外へのプレゼンを
部下に任せるというものである。

もちろん丸投げではなく、しっかりとサポートはするが
これをすることは間違いなく部下にとって
英語のブレークスルーになると思うのだ。

元々ポジティブな性質を持っている部下なので
最初こそ苦々しい顔をしながらも
すぐに「やってみます」と快諾してくれた。

よく語学を習得するためには
いかに恥をかく経験をするかが大事だと
言われるが、
まさに私達はその経験が足りていないのであろう。

かくいう私も最近語学力の伸び幅が小さくなっているのは
恥をかく経験が少なくなってきたからかもしれない。

定期的なプレゼンも今ではそれほど緊張しないし
恥をかくことも減ってきた。

ある意味、これは私にとっても部下にこの仕事を任せ、
次の新しい「恥かき仕事」を探すときが
来たということであろう。

次はどんなことにチャレンジして
どんな恥をかいてやろうか。

少し不安でもあり、楽しみでもある。

これからも恥かきバトンを部下たちに
つないでいきたいと思う。

ちなみに日本語でプレゼンをするときには
「以上で私の発表を終了します」と
終了の挨拶をする前に述べていたので、
英語でも「That's all」と言っていたのだが、
ある時そのことを海外の方に指摘されたことがある。

「That's all」はあまりプレゼンには不向きな
言葉だという指摘だったので
それ以降使わないようにしていた。

すると、少し前に映画「プラダを着た悪魔」を見た際に
鬼上司であるミランダが部下たちに対して
指示をした際に「That's all」を連呼していた。

確かにこの言葉は突き放すような冷たいニュアンスを
感じる言葉である。

やはり語学学習もインプットとアウトプットの
バランスが大切なのだと改めて感じた。

That's all.

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