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心の奥に片付けられた”憧れ”

昨日は在宅勤務であった。

私はいわゆる技術職であるが、
報告書などの書類を起こす仕事が溜まると
時々在宅勤務を取り入れるようにしている。

オフィスにいると声をかけられたり
オフィスの中で繰り広げられる会話などに
集中力を持っていかれてデスクワークが
思うように進まないからである。

昨日も3件の報告書を作成し、発信するという
ミッションを自分に課して
パソコンに向き合った。

昼前に2件目の報告書の英語版が完成し、
十分に定時までにはミッションをクリアする
算段が付いたところで
休憩をとることにした。

さすがに朝から3時間半もぶっつづけで
パソコンに向き合っていたので
目も体も固まってしまっている。

こういうときには音楽を聞いて
気持ちからほぐすのが一番だと思い
私はスマホをスピーカーにつないで
YouTubeで音楽を聞くことにした。

YouTubeのありがたいことは
1曲何か曲をかけると過去の再生履歴から
私が聞きたそうな曲を勝手に選定して
次曲の候補をあげてくれることである。

1曲目を何にしようかと考えたとき
久々にトライセラトップスの曲が
聞きたいと思い、Feverという曲をかけた。

昔よく聞いた懐かしいメロディが流れ始める。

トライセラトップスは今から20年ほど前に
「Going to the moon」という曲が
ポカリスエットのCMソングに使われたことで
一気に知名度が上がったバンドである。

そのCM以前からバンドとして人気があり、
個人的に応援していたので
このヒットを何となく苦々しい気持ちで
見ていた記憶がある。

そんな懐かしい気持ちを思い出しながら
Feverを聞き終わり、
次は何がかかるのかと期待しながら
待っていると、
さらに懐かしいイントロが流れ始めた。

それがこの曲

Gothic ringという曲である。

この曲はトライセラトップスがとても
メジャーになる少し前に出されたもので、
彼女が欲しがるゴシックな指輪をテーマに
歌った曲である。

当時中学生だった私にはよくわからない
歌詞の内容ではあったが、
この曲のメロディがとても好きで
当時よく聞いていた。

そして、音楽を聞くと同時に
私はこの曲のプロモーションビデオ(以下PVと記載)を
録画して何度も見ていた。

今の時代、ファンでなくてもPVを
見る事は簡単になったが、
当時はPVを見ることは
音楽番組で曲紹介をされている時ぐらいであった。

そんな私がなぜこの曲のPVを
手に入れたかというと、
その当時京都のローカル局である
KBS京都に「音楽交差点」という番組があり、
その番組を録画したからである。

その番組では色んなアーティストのPVが
ランダムに流されており、
偶然私が録画した回にトライセラトップスの
この曲が入っていたのだ。

そして、そこで見たのは上記でリンクを貼った
この映像である。

狭いスタジオの中で演奏するトライセラトップスの3人。

特段変わったことは何もないのだが、
当時の私はある人に目をくぎ付けにされた。

それがトライセラトップスのベーシスト
林幸治さんである。

なぜ彼にそんなに目を引かれたかというと
私が考える「カッコイイ」をそのまま形に
したような姿だったからである。

スッと高く伸びた背、長い脚、大きな目
クールな表情、指でベースを弾く姿
チャラチャラした雰囲気がない

私の中でカッコイイ人に当てはまる要素を
集めていくときっとこの人に行きつくのだろうと
思う姿がまさに林さんであった。

いうまでもなくこのプロモーションビデオでは
彼は何も話していないのだが、
彼らが音楽番組に出演したときに
林さんに話が振られた話に対して
とても緊張した感じながらクールに答えているのを見て
私はその対応すらカッコイイと思ってしまった。

そんなにカッコイイ姿ならば
私の周りにいる女子たちも注目してよさそうである。

だが、メジャーになったとはいえ
トライセラトップスを好きという人は
周りには少なく、
林さんのカッコよさはあまり私の周りの女子たちに
伝わることがなかったのだ。

一応断っておくと、
私は男性に恋愛感情を持つタイプではない。

だが、この時林さんに対して間違いなく
私は憧れのような感情を抱いた。

彼の様になりたくてギターやベースを
弾くようになったし、
ポールマッカートニーの顔はプリントされてないが
このPVの彼のようにロンTと半そでTを重ね着した。
髪型はパーマこそ当てられないが彼を意識して
センター分けにしていた。

恐らく私は彼に高校卒業ぐらいまでずっと
憧れ続けていたと思う。

だが、大学生になり勉強やアルバイトに忙しい日々が
続く中で私の中からそのような憧れの気持ちは
心の引き出しの中にしまわれてしまった。

しかし、今回久々に見たこの映像で
私は過去に自分が抱いていた憧れの感情に
再び出会った。

多少古臭さはあるものの
今みてもこの映像の中の林さんは
十分にカッコいいし、
彼の今の様子を調べてみると
47歳になった今でも全く変わらない
カッコよさを維持されていた。

年齢を重ねたからかはわからないが
最近自分にとって本当に大切なものかどうかを
考えることが増えた気がする。

そんな私にとって、心の中にずっとしまわれていた
憧れの感情はとても新鮮なものであった。

そして、間違いなくこの感情は自分にとって
大事なものであると思う。

もちろん今からベースを弾こうとか
センター分けにしようなどとは
思わないが、
あの頃のように心の中に憧れをもって
生きていくのも悪くない気がするのだ。

いくつになってもいつまで経っても
憧れを心の中に持って
それを追いかけていきたい。

あなたには心の中にしまったままになっている
憧れの存在はいないだろうか。

もしいるなら、久々に掘り返してみては
どうだろうか。

今の時代は明らかに昔よりも憧れに触れやすいのである。

あの頃のキラキラした感情を
共に思い出してみようではないか。

ちなみにこんな憧れの蓋を開いた私が
午後からトライセラトップスの曲をBGMに
書類作成をせっせと行ったのは言うまでもない。

曲のおかげかどうかはわからないが
昨日のミッションは無事クリアできた。

しかし、私はまだ立ち止まらない。
なぜなら仕事はまだまだたくさんあって
報告書3件では

まだ足りないから~♬

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