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”低利益”は素晴らしいのか?

先日X(旧Twitter)を見ていると
私がフォローしている方が
キャンペーン開催の告知ポストを
されていた。

その方は小さい飲食系のビジネスをされている
経営者の方である。

一体どのようなキャンペーンなのか
興味本位で覗いてみると、
新作の商品のお披露目イベントを
ご本人が開催されるというものであった。

その方が取り扱われている商品は
比較的簡単に作れる商品なので、
少々風変りなモノを組み合わせれば
色んなバリエーションを作ることができる。

しかし、こうして新しい商品を次々に
作り続けるからこそ
ビジネスが続いていくし、
それを経営者自身が自らの声で発表することは
大切なのだろう。

そんな想いでそのポストを見ていると、
そのポストを引用する形で
その方がこんなことを書かれいていた。

「体にいい〇〇(商品の種類)を低利益で
提供する社長に会いに来ませんか?」

私はこの方の投稿を頻繁には見ていないし、
最近どのようなビジネスをされているのかは
よく知らない状態であるが、
少なくともこのビジネスを始められた時には
体にいい商品を顧客に提供したいという
コンセプトで始められていたと記憶している。

それはとても素晴らしいことだと私は思う。

口から取り入れるもので私達は作られているので、
それにこだわることはとても大切であろう。

だが、私は「低利益」という言葉に
何だか妙な引っかかりを覚えてしまった。

一見すると「低利益」でいい商品を提供することは
とても素晴らしいことの様に見える。

私も一消費者としては体にいいものを
可能な限り安い値段で購入したいと思う。

しかし、安い値段で提供するための手段として
「低利益」というカードは
あまり切るべきではないと思っている。

なぜなら、それにより市場の価格は
影響を受けてしまうからである。

一度その価格に慣れた顧客は
それよりも高い価格に対して
純粋に割高で損をするような感覚が
芽生えてしまう。

この方がされているのはスモールビジネスなので、
対象とする顧客の範囲は比較的限られており
競合も明確。

しかも、商品の付加価値は極めてつけにくい。

そうなると、瞬く間に価格競争に陥ってしまうのだ。

もちろん、企業の経営はそんなに単純ではないし
時には低利益で沢山の量を製造することで
ビジネスにかかる固定費を薄める必要もあるだろう。

だが、少なくとも私が知る限り
この方のビジネスはほぼ個人でされており、
それほど特殊な設備が必要ではない。

推測にはなるが、原価に占める原材料費が
極めて高いビジネスモデルであろう。

このようなビジネススタイルで低利益を
目指そうとすると、
価格競争が起こった時に一気に手持ちのカードが
切れなくなってしまい、
ビジネス自体が成り立たなくなってしまう。

そうすると結果として、体にいい商品を提供したいという
この方のコンセプトを満たせなくなってしまう。

何が言いたいかというと、
顧客のためを思うならばなおさら「低利益」には
すべきでないということである。

我が家の子供たちが時々テレビで
大盛にする飲食店を特集するような番組を
見ている。

「パパ、見て。こんな量で〇〇円ってすごくない?」

このような問いかけが必ずあるので
その時にチラリと私も見るのだが、
このような店の店主はたいてい
「お客さんの満足する顔が見たいから
殆ど利益はとってません」
のようなことを言う。

このコンセプト自体は悪くないし、
もしかしたら大盛商品の裏で
しっかりと利益が取れる商品があるのかも
しれないが、
私はこのような言葉を聞くたびに
何だか複雑な気持ちになる。

理由は先ほど書いたのと同じ、
顧客にサービスを提供し続けたいならば
ちゃんと利益を取るべきだと考えているからである。

例えば、これが原材料の購入方法を
見直したことにより、
原材料費を抑えることができて
顧客に安く提供できているのであれば
何の問題もない。

それはちゃんと利益が取れているからである。

ちゃんとした利益が出れば、
経営者は新しい商品を開発したり、
安くて品質のいい原材料を探すことに
お金をかけることができるようにもなる。

そうすることでさらに顧客にとっていい商品を
継続的に提供することができるのだ。

今色んなものの値段が上がり
消費者としてはコストを抑えたい気持ちが
どうしても強くなってしまうが、
私は一消費者として適切な利益を取るビジネスに
投資をしたいと思っている。

モノを選んで買うという行為は
とてもシンプルなようで、
実は経済をまわす大きな行動の一つなのである。

そんな一員として、少し広い目線で
選択してみてもいいのではないだろうか。

ちなみに、この記事を書きながら
この方が書いたポストの「低利益」という言葉は
顧客に対する単なるアピールなのかもしれないと
思い始めた。

実際にはちゃんと利益は確保しながら、
「低利益」と銘打つことにより、
原材料価格がとても高いように顧客に
見せているのかもしれない。

このようなことはあまり過度にすると
違法な表示になりかねないが、
世の中にはこのような事例は枚挙にいとまがない。

いろんなものの原価構成を考えてみると
何だか面白い記事になりそうなので、
ぜひ調べて一度記事にしてみようと思う。

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