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【有償ストック・オプション】 上場企業の実務について④ 昇進しないと行使できない?!

こんにちは、大門(だいもん)です。

有償ストック・オプションは、かなり自由度高く設計することができることから、それぞれの会社の思想、願いが如実に反映されるケースが多く見受けられます。今回は、そんな思想を反映したユニークな有償ストック・オプションについて、株式会社ユーザベース(以下、ユーザベース社)とAI CROSS株式会社(以下、AI CROSS社)のケースを考察していきたいと思います。

ユーザベース社の実例

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ユーザベース社が2019年12月16日に発行した有償ストック・オプションは、主に下記の3つの行使条件を付けて設計されています。

減価償却費、のれん償却額及び株式報酬費用を加算した調整後EBITDA

②一定期間中の20日間の時価総額の平均値

人事考課における等級が本新株予約権の割当て時と比較して同等以上であること

会社業績、時価総額に加えて、「昇進しないと行使できない」という条件が付いています。これは、会社業績と時価総額の伸びに貢献しなかった社員(フリーライダー)がキャピタル・ゲインを得ることを防ぐために付けられている、と推察されます。

あいつは頑張ってないのになんで得してるんだ?」という軋轢を生むリスクを防げるため、非常に公平感のあるユニークな条項と存じます。

AI CROSS社の実例

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AI CROSS社が2020年4月14日に発行した有償ストック・オプションは、主に下記の3つの行使条件を付けて設計されています。

①売上高・営業利益高、共に一定金額を超えたら20%行使可能

②売上高・営業利益高、共に一定金額を超えたら100%行使可能(①とは別の期)

部長以上の役職であること

こちらはユーザベース社のように、時価総額条件は付けていませんが、会社業績の判定基準を2段階に分けてゼロサム化を防ぐ設計となっています。さらに、「部長以上の役職」(降格しないor昇進が必須)でないと行使不可とすることで、フリーライダーを防ぐ設計としています。

また、AI CROSS社の場合、発行要項からも分かる通り、社外協力者に対して役職を与えている、という点でもユニークな人事組織設計をされていると存じます。

他にもストック・オプションにまつわる気になることがございましたら、下記よりお問い合わせください。


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