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【有償ストック・オプション】 未上場企業なのに、費用計上が求められるケースとは?!

こんにちは、大門(だいもん)です。

長らく上場企業の実務を取り上げてきたので、今回は久しぶりに未上場企業の発行実務を取り上げたいと思います。費用計上の免除特例が適用されてないケースについて、まとめていきます。

未上場企業は有償ストック・オプションを発行しても費用計上しなくていい?

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基本的には、未上場企業の場合、上記の図にかかる発行価額の圧縮分は費用計上する必要がない(未上場企業の株価は、客観的な基準がないため、免除特例が適用されるから)という格好になります。

労働の対価として考えられる部分」を株式報酬費用として計上する必要がある、という立て付けになりまして、業績条件等を付けて圧縮した部分に関しては、「労働の意欲を喚起した」とみなして費用計上を求める、というロジックになっています。

行使価額の引き下げ分には、費用計上が必要!

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未上場企業であっても費用計上が求められるケースは、上の図のように発行価額(ストック・オプションの時価)ではなく「行使価額を引き下げた場合」になります。

例えば、ストック・オプションの発行時点で時価総額が上がり過ぎてしまったスタートアップが、役員・従業員にキャピタル・ゲインを得てもらうために、意図的に行使価額を引き下げて発行する、というケースが実例として挙げられます。

ただし、行使価額を引き下げた場合、「キャピタル・ゲインが得やすくなる」=「オプションとしての価値が高くなる」というメカニズムが働くことによって、発行価額が通常のストック・オプションよりも上がってしまう、というデメリットがあります。

貰う側からしますと、割り当てられた時点のキャッシュ・アウトが大きくなる一方で、より大きなキャピタル・ゲインを得ることが可能になるため、通常のストック・オプションに比べて「ハイリスク・ハイリターン」な設計になるということができると存じます。

なお、会社側からしますと、費用計上が発生する=営業利益が目減りするというデメリットがありますので、実例としては多くないという限りでございます。

未上場企業の損益計算書に「株式報酬費用」が載ることはあるのか?

今回のようにストック・オプションの行使価額を引き下げた場合以外ですと、未上場企業で株式報酬費用が計上されるパターンは考えにくいと思われます。

例えば、上場企業でよく見られる譲渡制限付株式(一定期間売却ができない株式を譲渡する制度)も、未上場企業の場合は損金算入ができないため、利益が減るのに、税金が減らないという事態を招くことから、実例は見られない、という次第です。

他にもストック・オプションにまつわる気になることがございましたら、下記よりお問い合わせください。


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