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礼儀正しさと敬意とボイラー室にて。

このごろのブログでは、先日購入いたしました
宮﨑駿さん監督の映画作品集より、あらためて
『千と千尋の神隠し』を観た感想を記しているけれども、
まだもうすこしだけ考えることがございまして、今回も
『千と千尋』のことを申しあげたいとぞんじます〜。

8月19日のブログの中では、千尋はその自身の
素直な性格によって油屋のみなに愛されてゆく、
というのを申しましたが、素直さ以外でも
よいなあと感じたのが千尋の礼儀正しさです。
8月18日のブログでは、千尋の両親はどちらかと言えば
礼儀や敬意の気持ちを持っておられなかった、
としるしたですが、その逆として考えると
千尋は礼儀及び敬意を持っておられて、
すばらしいなあと思ったのでした。
このことがとくによくわかるシーンというのがね、
19日のブログで挙げました油屋のボイラー室にて、
千尋は釜爺だけでなくススワタリたち
(『となりのトトロ』で登場する「まっくろくろすけ」)にも、
礼儀正しい、と申しますか、つまり、
どのような種族に対しても分け隔てなく接していて。
たとえば、千尋が、燃料を運ぶ
ススワタリたちの邪魔になってしまったとき、
邪魔になったことに気づいた千尋は彼らへ
【あ、ごめんなさい。】及び
【あ、ちょっと待って。】と言いながら、
その場所から離れようとしていて、そして
ススワタリたちの動きを見ながら
絶対に邪魔にならない場所へと移動した。
(結局、その移動した先でも
 釜爺の邪魔になってしまったけれど。)

ここで千尋がススワタリへと言われていた
【あ、ごめんなさい。】と
【あ、ちょっと待って。】ということばって、たとえば
友だちに話すような親密さもあるし、かつ
油屋の中ではススワタリたちのほうが先輩である、
というような礼儀正しさや敬意をも感じられる。
だからこそ、映画の後半において、そこへ置いて行った
千尋の靴をススワタリたちが保管していたのを
大事そうに出してきてくれたり、また、
釜爺も、その千尋の雰囲気を感じ取っており
この直後に来たリンに対して、千尋のことを
【わしの、孫だ…。】と説明をしていたり、
ボイラー室を出て湯婆婆のもとへと行こうとするときには
【グッドラック!】と励ましてくれたやもしらない。

もうひとつ、千尋の行動で良いなあと思ったのは
同じくボイラー室にて、千尋が
ボイラー室へと足を踏み入れてから、
釜爺にごあいさつをしようとしたとき、最初は
ことばをかける勇気が出なかったというのもあると思うけど、
でも、お仕事で忙しそうだった釜爺に対して
その仕事がひと段落したようなタイミングを察しながら、
千尋は釜爺に声をかけた。
でも、声をかけた直後にはまた
釜爺はすぐに仕事になってしまったけれども、
しかし、その釜爺への声のかけ方自体にも
千尋の愛される由縁のようなものを感じられて、
よいなあと思ったのでした。

でも思えば、千尋が、油屋で一番最初に訪れる場所が
「ボイラー室」というのも、なんだか
とっても象徴的と申しますか、つまり、
湯屋である「油屋」において、一番大切なのは
お風呂を沸かすボイラー室なのだと考えられるから。
千尋が、その場所を司る
釜爺及びススワタリたちに認められて、
かつ、愛される、というのは、それは
非常に重要なシーンだったと思うのよね。

そんな千尋は、
みなに愛されながら、ひいては
みなのことを救ってゆく、
みたいなふうに思われるからこそ、
ぼくは、千尋のように成りたい〜。

令和6年8月21日


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