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芸術未満

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「芸術」に憧れ、反発し、惹かれながらも怠惰に流れがちの美術部学生。美と性は不可分か、異性らの面妖な美は聖なのか俗なのか。めまいのする青少年新懊悩記。
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2021年5月の記事一覧

人工郊外住宅地では、その言葉は貴重なロック福音であった / 芸術未満 20

 遠野モリカは「クリムトが好き」と言った。下田は彼女に嫌われたくなかったので調子を合わせ…

血を業火で燃やせば、きっと燃えるような赤い薔薇になる…だろう / 芸術未満 19

 美術部「礫」の部室は、滝本が積極的に呼び掛けを行ったこともあり、「あそびげい」(美学及…

「実学」…その言葉に怯えたような下田はヌードトランプの絵を見た / 芸術未満 18

 「美」とは何か、という茫漠な問題を学生が大真面目に研究しても許されるのだろうか。  下…

毎日でも叩かれたいという背徳的な悪ふざけであった / 芸術未満 17

 西宮の暗澹たる空の下で下田は木原美紀のことを考えていた。藤井に対するハセやんのように、…

東欧製人形少女は坊主頭の野球少年にほほ笑んだ / 芸術未満 16

 小学校の子供たちは実際の異性その者より、自身の勝手な思い込みで好きになる相手が簡単に変…

快楽の栓をこじ開けた男児らは上気して報告する / 芸術未満 15

 小学6年のクラスにはヤンマーや、たっかん(もっしゃん)たちの団地グループとは別に野球部…