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詠舞台「蟲師」感想

■ はじめに

 詠舞台「蟲師」2015年3月20日(金)19:00回、2015年3月24日(火)19:00回を スパイラルホールで観てきました。
この舞台は7800円でネット購入した際にかかった費用も含めると約9000円です。9000円×二回分。
正直に言います。金をドブに捨てた気分でした。

・詠舞台「蟲師」
https://www.j25musical.jp/stage/110

 まずこの舞台を観に行こうと思った経緯について。
元々漫画の蟲師が好きで、アニメで「蟲」の表現が原作以上に表現されているのを見て本当に感動しました。
そしてこの舞台が発表され、当時のニュースで「アニメスタッフが舞台に協力し、まったく新しい形の舞台表現を行います」という触れ込みでした。(ちなみに「まったく新しい~」という表現は今でもサイト上に存在します)
 その後の情報を見るとアニメの声優を使うらしいということ、どうやら舞台独自の話ではなく、アニメでも上演した話を演じるということがわかりました。その上で「まったく新しい形の舞台表現」!
アニメスタッフも協力しているということだし、これは素晴らしいものが期待できそうだ!当時はそう思い、チケットを三公演申込み、二公演当選しました。


■ 上演時間について

 3月20日は19:00~20:10、3月24日は19:00~20:30になります。大体70~90分です。あまりに短い気もしますが、実は1公演につき、2つの話が上演されます。アニメの話を2話ずつという形なので、まあ、だいたいそんなもんです。


■ 詠舞台の設定について

 大前提の話をしとくと、主人公は蟲師ギンコという青年です。蟲師とは世の不思議な現象を引き起こしてる「蟲」をなんとかする人達です。時代は現代ではなく、昔の日本っぽいのですがどこかファンタジーな要素もあります。なんちゃって日本って感じです。その蟲師と縁が深い一族というのもあります。
 この舞台は「蟲師ギンコが一族の当主に蟲の話を聞かせる」という形で2話分の話が進みます。2話の話をして「今日はここまでにするか」と話を切り上げ、ギンコと当主が会話して物語は終了です。
構成に違和感はなかったですが、恐らくアニメの台本をほぼそのまま持ってきてるのが、ちょっと、なあ…


■ 演出について

 期待していた「新しい表現方法」についてです。ニュースや公式サイトでは「270 度にわたって視界を覆う圧巻のビデオマッピング」との記載。当時のニュース記事を失念してしまいましたが「観客が蟲師の世界に入れるような演出」みたいな事も書いてありました。
何をするかよく分かりませんが、なんかすごそう!当日ワクワクしながら劇場に入りました。
 一面の壁という壁に白い布が垂れ下がっています。それだけでした。しょぼいです。絶句しました。
とりあえず気持ちを落ち着けるため席を探そうと視線を下に落としました。パイプ椅子でした。段差が全くありません(段差がないと前の人の頭が邪魔で舞台が見えなくなります)。マジか?この会場が本当に蟲師の会場なのか?頭が痛くなりました。
実際パイプ椅子に座ってみると、舞台の天井から3/4しか見えません。思い切り前の人の頭が邪魔してる訳です。他の劇場でも似たようなことはありますが、これは役者が座ったら全く見えないぞ?座らなくても見えない時があるかもしれないぞ??
 入って数秒も経たない内に嫌なフラグが立っています。いや、まだだ。舞台の設置がひどいだけで、演出は本当にすごいんだ!!そう思いながら物語の開始を待ちました。
そして現実を思い知りました。

「アニメスタッフが舞台に協力」というのは「アニメの映像を拝借して流す」だけ。
「270 度にわたって視界を覆う圧巻のビデオマッピング」は「白い布に蟲等のイラスト流す」だけ。
「観客が蟲師の世界に入れるような演出」は「会場の真ん中はパイプ椅子が並べられておらず、その通路を役者が通る」だけ。

いやふざけすぎでは??????
観客舐め過ぎでは?????


 とは言っても、中には感心した演出もありました。舞台上に透ける素材の布を垂らしていたのですが、そこに映像を写して背景美術の代わりをする、という演出です。
例えば木を写し、その下に腰掛けて会話する。近づいても消えない虹(正体は蟲)を移して役者にそれを触れさせる。これらは上手だと思います。
 しかしそれを差し引いてもこの演出は……ないわ……
※ちなみにですが、当然のごとく舞台上の役者の姿は全く見えませんでした。



■ 詠舞台とは

 正直、詠舞台って何をするか分かりませんでした。演出をする以上、何かしら動くのだろうという予想だけで行きました。そうして実際の舞台を見ると、感想はひとつ。クソつまらん!!!
 リーディング、朗読劇とも言うのでしょうか。これ自体は別につまらないものではないと思うんです。以前見た朗読劇は本当に面白かった。詠舞台は朗読劇のような台本を持って台詞を言うお芝居でした。しかしこれが悪手すぎた。
 まず演出でやろうとしている「観客と蟲師の世界の一体感」、だからこそ壁一面に白い布を被せたり(しょぼいですが)、役者を観客の間から通らせたり(ぶっちゃけどうでも良かったですが)、工夫?したのでしょう。
一体感を出そうとしているのに役者は台本を持って一線引いてる。いや分かる。声優さん達に役者やれおらぁ!とか出来るわけないからね、台本持たせたいのはわかるんです。
ですが、選んでる演出とミスマッチすぎて、なんというか、選択した全ての演出・やり方が見事に変な形に融和し謎の進化を遂げて「つまらない」になってるんですよ!なんでこんな見事な悪手ばかりなの!?
 そして役者さんたちも、ちょっと、着ている服がちょっと……。
ギンコは原作でも洋装だったし、役者の方もギンコを意識したような衣装だったので問題ないんです。とある一族の当主も羽織を着てるからこれもいいです。他の人が全員洋装ってどういうこと?基本的に蟲師の世界では洋装してるのギンコだけなんですけど……???世界観ぶち壊しですよね!!

 正直これなら会場でアニメを流して役者さんがその場で声をあてるアテレコ現場風イベントみたいな感じの方が断然面白かったと思います。どうして舞台にしたかったのかさっぱり分かりません。
だって舞台を見ても役者はほとんど見えないし、見えたとしてもただ台本見て読んでるだけだし(もちろん声優としての演技はとても素晴らしいです)、演出はクソだし、良いことがひとつもありません。


■ まとめ

 自分で申し込んだのに、なんで二回も舞台を見に行かなければいけないんだろうと真剣に悩んだ舞台でした。こんな気持になったの初めて。
期待を煽らず素直に朗読劇にすれば良かったじゃん、その方がみんなハッピーじゃん。でもパイプ椅子は勘弁してくれよな、という感想です。
まさに金をドブに捨てた気分でした。わあい、勉強になったなあ!(血涙)

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