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ゲーム「パラノマサイト」感想

 何度か話題になっているのを目撃したパラノマサイト。イメージイラストを見てホラーか、もしくはホラーミステリっぽい雰囲気を感じ取りました。好みドンピシャの予感に従い購入。満を持してプレイしてみたところ、めちゃくちゃ面白かったという感想です。昭和な感じのストーリーとイラストとBGMと、システムを使った操作。すべてが良かった!

ジャンル:ホラーミステリーADV
プレイ時間:10時間
媒体:PC(Steam)

 本作は内容をネタバレしてしまうとつまらないので、最初はできる限りネタバレしないように感想を書いています。ネタバレ箇所についてはわかりやすく掲載するので、未プレイの方は気を付けて閲覧してください。
というか、未プレイだったらこのページを閉じてさっさとゲームを買って自分でプレイすることをおススメします。


■ あらすじ

 あらすじらしいものはサイトに掲載されてないですし、私が独自であらすじを書き上げてもこれまたネタバレになるのでサイトに掲載されている煽り文をまず紹介しようと思います。ネタバレありの感想は後々書きます。

昭和後期の東京墨田区を舞台に、呪いの力を得た9人の男女が七不思議に隠された<<蘇りの秘術>>の行使を巡ってそれぞれの想いをぶつけ合う、群像ホラーミステリADV。
最後にあなたが待ち受ける謎とは…!?

パラノマサイト

昭和後期!呪い!蘇りの秘術!群像ホラーミステリ!!
最高ですね!


■ 怖いか怖くないか

 情緒が死んでる筆者なため、驚かし要素に多少驚きつつも「怖いか」と言われたら「本作は怖くない」と答えます。むしろ呪いのデザインとか可愛いし……。
しかし、この感想を読んでる人で未プレイの人がいるとしたら、「どれだけ怖いのか」が気になってる人なんじゃないでしょうか。でも私はどれが怖い要素なのかさっぱりわからない。なので「ホラーがダメな人はこの辺が気になるのかも?」という推測の元、書いていきます。

  • 驚かし要素はある(意図しない場所にキャラが立つとか幽霊っぽいのが出るとか)
    ※この要素のことを「ジャンプスケア」と言うらしい。初めて知った。調べてみる限り近年出てきた言葉っぽい。

  • 血飛沫要素はない(血がブシャー!っと出る感じはない)

  • 死体描写はある

  • 超常現象が存在する(「呪い」が存在する)

  • 実在の七不思議を使った超常現象が存在する(現実世界とのリンクがある)

こ、こういうポイントとかが怖いですかね?なんもわからん。
平気そうならぜひプレイしてみてほしい。面白いので!


■ 舞台は昭和後期の墨田区

 先ほど引用した文章にも記載しましたが、本作の舞台は東京都墨田区です。そう、ガチの墨田区なんです!なにせエンディングのスタッフロールに「協力:墨田区」とでかでかと書いてありますし、本作で使われている七不思議「本所七不思議」の本所とは墨田区のことです。本所七不思議は実在するんです。この本所七不思議、墨田区の公式サイトにも掲載されています。

ちなみに私はクリア後に色々調べて本所七不思議が実在したことを知りました。いや普通ガチだとは思わないじゃん!


■ ゲームシステム

UI

 本作はテレビを模したUIが特徴的です。メニューを開くたびに「ぶつん」という音が鳴り、昭和のテレビのようなメニュー画面が表示される。う~~んおしゃれ~~!

(C) 2023 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
(C) 2023 SQUARE ENIX CO., LTD.

操作

 Steam(PC)でプレイしましたがコントローラーに全対応してました。やった~。

(C) 2023 SQUARE ENIX CO., LTD

早送り可

 これはゲームの遊び方を見に行かないと分かりづらいのですが、キャンセルボタンを長押しすると全体的に早送りになります。本作では既読会話スキップ機能がないため、これがないとポチポチしなきゃいけません。これに気づいてからちょっと便利になったな。メニューを読み込んでよかった。

オートセーブ

 本作はオートセーブなため、自分でセーブする必要がありません。しかし心配性な私は念のため何度もセーブしていました(結局ほとんどロードしなかったので意味はありませんでした)

立ち絵

 ADVでは珍しく、本作には一枚絵(スチル)がありません。立ち絵ですべて網羅してるのです。これがもうすごくて!差分もすごいし!表情やばいし!

(C) 2023 SQUARE ENIX CO., LTD.
(C) 2023 SQUARE ENIX CO., LTD.

BGM・SE

 BGMがめちゃくちゃ良い。SEも良い。刑事が登場するシーンではまるで「太陽にほえろ」のようなラッパBGMが鳴ったり、他にも面白い部分がたくさんあります。

 ただSEがな~!「驚きの事実の発表」みたいなシーンの時、必ず銃声音がするのが微妙なんだよな~!
実際そのSEは発砲シーンで使われてるので「今の銃声音は作中で本当に発砲した音なのか、それとも驚きの意味合いで使われたSEなのか」を一瞬考えなきゃいけないのが地味にストレスでした。何も考えずに理解させてくれ。

システムを利用した操作

 ネタバレになるため詳しくは後述しますが、これが!本当によくて!面白くて!!ゲーム体験としてかなり面白かったです。良いものをプレイした。

ストーリーチャート

 本作はストーリーチャートも存在します。そのストーリー内でまだできることがない場合は暗く、できることがある場合は明るいままです。視覚的にわかりやすくて便利ですね!

(C) 2023 SQUARE ENIX CO., LTD.

難易度

 私としては真エンディングへの道以外は普通にクリアできましたが、人によって引っかかるところに差異があるとインタビュー記事で書かれていました。調べたところパッチを当てて難しい部分を調整してるようなので、最新のものを遊んでる人は苦も無くクリアできるかもしれません。






~~~~ネタバレするよ~~~~






■ システムを用いた操作

 本作でめちゃくちゃ好きなのがこれです。メタ的な「システムを用いた操作」!

声を聴かせない

 作中でもかなり強い発動条件である「声を聴かせたら殺せる」という能力に対して「プレイヤーにゲームの音を消させることで回避する」というもの。これがも~~~感動!天才!!
ちなみに私は最初勘違いして「すべての音を消す」操作をしました。ボイスだけで良かった。

思い出を残す

 とあるキャラが「忘れないでほしい」と願い、忘れないことを行動で示せと言われます。……おっとこれはセーブだな!?その予感に従ってセーブしてみたところ、大当たりでした。思い出に残せたよ。けどごめん。その後にその思い出、上書きしちゃった。

ストーリーチャートで動かす

 本作は群像劇なので複数のキャラの視点で物語が始まります。キャラAの立場ではこれ以上何もできないけど、キャラBの介入のおかげでキャラAの話が進む……みたいなことができるわけです。これは他作品でも見かけたことがある手法ですが、本作ではそのすべてが真エンディングへの前振りとなっているので、そこも面白い。


■ ストーリー

 簡単にまとめつつ感想を書いていきます。序章とか1章とか区切ってますが本作にそういう区切りはないです。筆者が書きやすいように書いてるだけ。

序章

 ゲームを起動すると古臭いテレビの横に面をつけた男が立っている。ここの「案内人」だと名乗った男は様々なことを説明し、プレイヤーに名前を聞いてくる。

 名前を聞いて入力したらSteamの適当なアカウント名を指摘されたり、自分で入力したプレイヤーネームがテレビに「提供」で表示されたりして普通に爆笑しました。ふざけた名前にすることが多いのでそこも合わさって軽快で愉快な印象を受けました。楽しい。

1章

 気を失っていた興家は葉子に起こされた。そこは見慣れぬ夜の公園。そうだった、知り合いの葉子に付き合って本所七不思議を調べに来たんだった。
そうして深夜遅くに公園を調べていると突如葉子が死亡する。そこから呪いの力を手に入れ、葉子を蘇らせたくば滓魂(さいこん)を集めろという声が聞こえた。興家はこの力を使うことを決心し、夜の墨田区を奔走する。
彼は見事集めきり、そして――

ここで暗転。つまりは死亡エンドですね。
「蘇らせろ!」の声に誘導され、好青年の興家が殺人鬼に早変わりした話。その後の描写で「呪いは殺人に対して罪悪感を薄れさせる」ということが判明しましたが、この時はただただ興家の才能にビビってました。
あと「押せ!」って出るから押しまくったら人がポンポン死にまくるのもちょっと面白かったです。

2章

 興家の話が終わったかと思いきや、別の話があると言う。案内人に導かれ、ストーリーチャート機能を使って時を戻ったプレイヤーは葉子を死なせることなく夜を明かすことができた。その代わり、明朝興家が死亡した。
そしてプレイヤーは新たな人物たちを見ることとなる。
怪死事件を調べている津積警部と江波刑事、息子を誘拐され殺された過去を持つマダムと探偵、親友が数日前に亡くなった女子高生やっこと霊感少女。
様々な事件や思いが交錯し、それぞれのエンディングを迎える。ある時は願いを遂げ、ある時は呪いに敗れ倒れる彼ら。
そうして事件を追っていくとこの呪いを収束させるために必要なものがわかった。それらをすべて手に入れなくては。

 1章時点での呪いを受け取った際は「本所七不思議で実際に起こっていたことの詳細」というだけだったのに、2章以降は話を進めていくと「すべての本所七不思議は時系列順に繋がっている凄惨な事件だった」というのが最高でした。とある陰陽師たちの争いに巻き込まれた人たち(一部自業自得あり)の事件。お、おもしれ~~!
関係ないと思われた様々な出来事が一本に繋がっていく感じが本当にすごいです。

真エンディング

 事件を収束させるために必要なもの、それはこの呪いを作った陰陽師の魂現身、精神だとわかった。魂は陰陽師の呪いの道具。現身は陰陽師の子孫。精神はその陰陽師自身の意識。
 プレイヤーは”彼”に陰陽師の精神を獲得させた。そして彼は理解した。過去に何があったかを。彼は過去の呪いを清算し、呪いの発生を防いだ。呪いに巻き込まれてしまっていた人たちは呪いが発生しないことによって事件そのものが存在しなくなった。
そしてプレイヤーの、「私」の役目は終わった。
「私」が見てきた彼らは、彼らの問題と向き合い、未来へ進んでいくのだろう。

 ここにたどり着くための条件である「意識」をどうすればいいのかわからなくて一番悩んだポイントです。関連ありそうなところを舐めるようにプレイし、「あ!忘れてたけどそこにいたじゃん!」となってエンディングを迎えられました。

 この真エンディングは案内人によって導かれたプレイヤーたる「私」がすべてを終わらすことができたエンディングです。いや~~めちゃくちゃ良かった!
「呪いがなかったことになった」話なので今まで関わってきた人物たちのその後の出来事がダイジェストで流れていきましたが、彼らは今後自分たちで向き合ってなんとかしていくんだろうと思えました。面白かったなぁ~~!!


■ 謎解き

 たまにある謎解き。結構重要ポイントです。でも結構間違えてる。札を剥がすやつ以外は間違っても問題なさそう。

興家ルートでの被害者数

 「興家は何人殺したか」の質問で不正解になったやつ。当初はなんで不正解なのかさっぱりわかりませんでしたが、クリア後にやり直して理解しました。なるほど、たしかにこれは違ったわ。全部私が殺しました。

白石 美智代はどこにいたか

 こっくりさんの時に名前がわからなかったこと、やっこの友人であるミヲちゃんの態度、「家に帰ったら眠くなってすぐ寝た」という言葉、美智代の過去視をしてることから「どこにいたか」を答え、正解を貰えましたが、「死因がわかりやすかったですしね」と案内人に言われ「たしかに…」となって悲しくなった回。死因のことは全然頭になかった。

札を剥がす順番

 絶対時系列順だろと思ってやっても失敗。この順番のキーワードが根付のデザインと同じなことに後から気づき(それまでは語感が似てるものを当てはめると思ってた)、慌てて根付を確認して無事解読。



■ クリア後

 クリアした後に思ったことをまとめます。

事前の儀式

 「事前の儀式をしておけば蘇る対象は固定になる」とのことだったので「黒幕はすでに事前に儀式をしており誰がクリアしても黒幕だけが勝利する」と推測してたのですが見事外れました。な~んだ!

蘇りの秘術

 蘇りの秘術は「魂を参照し複製させる」ことらしいので、つまり空きの体が必要だと思うのですが……。
恐らくあやめ勝利ルートでは自分自身が体となってる。
マダム勝利ルートと興家勝利ルートがよくわかんないんですよね。興家ルートはあれかな、死んだ体があるからそれを使ったのかな。セイマンも死んでたのに蘇ったみたいだし、体が生きてるか死んでるかは関係ないのかもしれない。
マダムルートでもし自分の体使ってたら地獄だな。正義感がある幼い子供の魂が、大好きな母親の体を乗っ取ってたとか最悪じゃん。そして別人の体を使っていたとしても、中にいる子供の気持ち的に最悪じゃん。

ミスリード

 黒幕の正体のミスリードに思いっきり引っかかりました。興家ルート以外は他の呪主は死亡せずに勝利を掴んでるのでてっきり別の子が黒幕だと思い込んでた。途中から作中で否定し出したので、やはりミスリードがご丁寧に用意されてたというわけです。見事掌で転がされたってわけですね。悔しい!でも面白い!

興家の才能

 呪いの影響を受けていたとはいえ、興家があまりにも殺人の才能がありすぎる。そして躊躇しなさすぎる。葉子が死んだ時に出てきた「蘇らせろ!」は恐らく黒幕からのメッセージだと思われるので、幽霊状態でその場にいて興家は取りつかれてしまい、取りつかれたことによって影響が出た結果「殺人の才能に溢れる興家」になってしまったのかなと解釈しました。さすがに本来のポテンシャルではないと思いたい。

「取り憑かれる」ことへの影響

 やっこの人物説明で「ちゃきちゃきの江戸っ子」という言葉が書いてあったのを見かけた時の違和感と取り憑かれた際の人格影響、セイマンが取り憑いた際の行動への影響、恐らく取り憑かれた興家の思考や行動。これらがとても納得できる話の流れなのが素晴らしい。

プレイヤーの役割

 ゲームを俯瞰で見せてプレイヤー本人として介入させる作品かと思いきや、プレイヤーにはしっかりと「セイマン」という役割が付与されていたのが面白かったです。「プレイヤーがキャラクターに取り憑いて行動や思考への影響を与えていた」ってのは最高の設定だったな。

案内人

 案内人は最初はセイマンの意識だと勘違いしてました。違いますね!こいつ、ナカゴシですね!真エンディングクリア後にナカゴシからのメッセージがあって笑いました。隠す気がない。
と、いうことは!?本作で重要な機能であるストーリーチャート機能はナカゴシの能力と思われるってことで!?つまり!?続編があるってことなんじゃないですか、ねえ公式さん!!

案内人が戻しているというよりも、プレイヤーが戻っている形です。意識体は時間と空間を超越できる、というのはこの世界のルールです

『パラノマサイト』ネタバレ全開インタビュー後編

と思っていたけど、否定するインタビュー記事を見つけました。これによるとナカゴシ能力ではないようです。でもあそこにいるってことはさあ!ナカゴシも意識体ってことじゃん!!

意識体と幽霊の違い

 「意識体は時間と空間を超越できる」ならセイマンは過去の江戸に戻って「例の事件をなかったこと」にすればいいだろうし、黒幕が死んだ際の幽霊状態がイコール意識体なのであれば同じく過去に戻ってどうにでもできる気がしますが、それをしないってことは意識体=幽霊ではないってことなのかな。
意識体状態(超越した存在)だとしても江戸時代へは行けないようなので、更なる制限がありそう。

黒幕が獲得した呪い

 人物リストにて「害がなさそうな呪詛珠を取得」と書いてあった黒幕。それが「置いてけ堀」であり、この呪いの力は「自分から立ち去った人を溺死させる」なのでたしかに強いのですが「害がなさそうな」とはなんぞや。

 これはつまり、呪いを受け取る時の記憶や怨念の継承が影響するのではないかと解釈しました。作中で一番強い呪いは確実に「足洗い屋敷」です。呪主同士って意味の強い呪いなら「送り提灯」。つまり陰陽師同士の呪いなんですよね。黒幕がこの呪いを受け取ったらどちらも影響を受けそうですが、確実に影響を受けそうな呪いは「足洗い屋敷」です。
逆に一番影響を受けなさそうな呪いは「置いてけ堀」だと思います。だって親に置いて行かれたと思って探しに行った死んだ子供の声だけですからね。一番怨みの想いが少なそう。だからこの呪いを獲得したのでは……と解釈しました。



■ 公式おまけ

 クリア後にこの話の続きを求めてしまったプレイヤーは数知れず。そして我々はSNSと言うジャングルに降り立ち公式の供給を漁ったのであった……。SNSで頑張って遡りました。再度遡るのが面倒なのでブックマーク代わりに置いておきます。

書きおろしエピソード

イラスト

パラノマロケ地紹介

 ロケ地の紹介。ツリー上になってるので本ツイートから直接見に行った方が良いと思います。


『パラノマサイト』ネタバレ全開インタビュー

電撃オンラインのインタビュー。色々なネタバレあり。





■ まとめ(ネタバレなし)

 プレイ時間は10時間。真エンドのためのポイントがちょっと難しかったですが、なんとかクリアできました。実在の七不思議と絡めた話がとても面白く、ホラーミステリ群像劇と言うジャンル、昭和後期の世界観とキャラクターやイラスト、BGMもばっちり合っていてとても面白かったです。もう全部良かった。プレイして良かったなぁ~!
これで約2000円は安い!大満足!みんなもプレイしよう!!

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