見出し画像

【詩】肚に沈む


以前より遥かに
光が届く場所にいるのに
なぜこうもここは冷たく硬く
粘つき 絞めつけ 押さえつけ
迫る壁はじりじりと
優しく緩く行き場を塞ぐ

床を舐めると甘くて苦い毒の味
毒と薬 私はどちらを求めるか
永遠に続く嵐の中で
止むことのない唸り声を聞きながら

内臓の中に沈む重くて大きな黒い石
足を掴む死者の手が
いつまでも振り切ることができずに
進みたくもないのに 止まることは恐ろしい

どろどろのはらが重くて
不快な熱は胸まで満たし
口や目から漏れ出るそれは
腐敗した感情の残骸
溶けて溢れる 形を亡くした苦痛の石

孤独に震える影が私を抱き締める
いっそ食い荒らしてくれていいのに
跡形もなく骨までも





この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?