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2020年11月の記事一覧

旧矢中邸で素敵な裂使いを発見

旧矢中邸で素敵な裂使いを発見

つくば市に国登録有形文化財に指定された旧矢中邸があります。セメント防水剤の研究者であり、(株)マノールの創業者である矢中龍次郎の邸宅で、贅の限りを尽くした近代和風建築です。

矢中龍次郎が死去して以来ほぼ40年間空き家状態でしたが、2008(平成20)年に旧矢中邸の所有者が変更となることを契機に、地域において旧矢中邸を文化財として再評価し保存活用する機運が高まり、現在「NPO法人矢中の杜の守り人」

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心わしづかみ作品 旧川上貞奴別荘にある亀甲寄せ裂の小襖のこと

心わしづかみ作品 旧川上貞奴別荘にある亀甲寄せ裂の小襖のこと

明治から昭和初期にかけて日本初の女優として知られる川上貞奴(本名貞)の別荘と菩提寺が岐阜県各務原市鵜沼宝積寺町にあります。別荘は木曽川の景色を一望でき景勝地にある萬松園、菩提寺は別荘から国道21号線をはさんである貞照寺です。
川上貞奴は、1871(明治4)年に東京日本橋に生まれ、16歳で芸子になり貞奴と名乗り、1891(明治24)年に川上音二郎と結婚し舞台女優となり、その後女優を引退しています。

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八勝館のキラーコンテンツ 大襖のこと

八勝館のキラーコンテンツ 大襖のこと

名古屋に八勝館という老舗料亭があります。
そのキラーコンテンツは御幸の間の更紗が貼られた大襖です。これがもう素敵すぎてたまりません。御幸の間は堀口捨己により設計された近代の和室で、大襖の意匠も堀口が大変こだわったものです。

以前に調査した建物の内容は次のとおりです。
八勝館は創業1925(大正14)年の老舗料亭です。先先代が旅館兼料理店を開業しました。八勝館の名の由来は丘陵であるこの地から八つの

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