バレンタインデーが近づくと憂鬱です。(『おはなし仙人の勝手に人生相談』その7)

相談者(自称 中学2年生):バレンタインデーが近づいてくると、毎年憂鬱です。学校で友チョコとか義理チョコとかあげる人が多いですが、どんなのを買うとかつくるとか、誰にあげるとか、いろいろ面倒です。バレンタインなんてないといいのに…。

おはなし仙人:面倒なことはワシも嫌いじゃ。まぁ、おはなし仙人にバレンタインにチョコをあげようなんて思うヤツはめったいにいないから、バレンタインデーが近づいてもワシは平気だが、学校なんて行ってると、みんながしてることに付き合わざるをえんから大変じゃね。

そもそも、バレンタインデーってもともとどんな日なんじゃい? なんでその日にチョコをあげたり、好きな人に告白したりするのかね。よく考えてもみずに、みんながそうしてるからってことで自分もするっていうのは危険なことじゃ。チョコをあげるくらいなら大したことはないと思うかもしれないが、そういう習慣の積み重ねが恐ろしい。みんなが意見を言わないから自分も言わない、みんながマスクをするから自分もする、みんなが戦争に行くから自分も戦争に行く…「みんなが」のあとに何が続いても、同じことじゃ。

バレンタインが近づくと、どこの店に行ってもチョコレートコーナーができてチョコだらけだが、あんなにチョコばかり食べたら虫歯になる! バレンタインなんて、喜ぶのはチョコメーカーとラッピング業者と歯医者くらいのもんじゃ。チョコが食べたければ自分で買うかつくればいい。友だちと交換したところで、自分のほうがいいものをあげたとか、どっちのほうが量が多いとか、味はどうのとか、つくったらつくったで、あの人は上手とか自分は下手だとか、ロクなことがないね。チョコをつくったり食べたりして楽しい人もいるかもしれないが、虫歯のリスクは避けられない。バレンタインチョコなんて、歯医者が仕掛けたんじゃないかと思っちゃうね。

最近は砂糖の入っていないチョコもチョコチョコ見かけるようになったね。ダジャレじゃないよ。砂糖に代わりにアガベシロップとか、メープルシュガーとか、ココナッツシュガーとか使ってるやつね。仙人のわりに世間のチョコ事情にはちょっと詳しいだろ? どうせならそういうチョコがいいだろうね。

おっと、すまない。あなたの悩みの答えになってないね。いっそのこと、バレンタインデーは毎年学校を休むっていうのもありかもしれんぞ。そんなアホらしいことに付き合って心を病むのは損ってもんじゃ。「あの人は毎年バレンタインに学校休む」って陰口叩かれるかもしれないが、叩かしておけばいい。それはそれで余計に面倒なら、大袋入りの無難なチョコでも持っていって、テキトーに対処するか。いずれにしても、そんなことで深く考えすぎると気持ちがまいってくるってもんじゃ。学校ってのは、面倒なところじゃね。気の毒になるよ。

学校時代が終わればそれでバレンタイン問題も終わりかというと、会社なぞに入って友チョコ問題はあるそうじゃから、バレンタインのチョコに悩みたくなければ、バレンタインにチョコを配り歩くようなヤツがいっぱいいるような集団には近づかないことじゃな。世の煩わしさは、避けて通るが勝ちじゃ。


(おしまい)

※架空の人物「おはなし仙人」が架空の人生相談に答えるシリーズです。
筆者はおはなし仙人と同一人物ではありません。

※なお、おはなし仙人は修行とお昼寝でいそがしいため、コメントをいただいても返事ができません。コメント自体は歓迎で、いただいたコメントはおはなし仙人にお伝えしておきます。

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