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1.PhDでヨーロッパに来たけど,違うなって

どこかのヨーロッパでバイオ系のPhDを始めた。半年が過ぎた。バイオ研究,楽しくないなと気付いてしまった。向いてないのだ。もっと早く気付け。 自分の頭の中の整理のために,とりあえず文章を書いてみることとする。 これから人生どうするかな。

なにが,なんで楽しくないの?

なにが:バイオの研究が楽しくない
なんで:興味がないから

なんでPhD行ったんだよ馬鹿じゃねーの,という幻聴が聞こえる。良い質問だ。

なんで進学したか:行けるかな,と思ったから

要約すると,「バイオの研究に興味がないけれど,行けるかな,と思って進学しました。進学したけど,やっぱり興味がないので楽しくないです」になる。ヤバ……
この記事を読んでくれている人がいるとしたら,なんで???でいっぱいになっているだろう。

本人(私)も,どうして????である。
私が誰かにこうやって相談されて,「それで,どうすればいいっすかね?」と言われたら,「知らんわボケ」と答えたいところを,そうも言えないのでぐっと飲みこんで,「ふふふ,難しいわね,人生って」とミステリアスな微笑を浮かべ,茶をタイミング良く飲むことに注力するだろう。

どうしてそんなことになってしまったのー?
わっからん 完

こうなってしまうと,わざわざNoteにアカウントを作った意味がなくなってしまう。
アカウント開設に1分もかからなかったけれど,それではあまりに悲しい。
ツイッターもインスタもフェイスブックも,アカウントを作った癖に続かなかった。私の脳みそと互換性が悪いらしい。悲しい。私の脳と互換性のあるSNSを探し続けている。きっとNoteがそうだと信じている。知らんけど。SNSなのかよくわかっていないけれど。突発的に始めたのできちんと調べてもいない。

さて,なんで?

まずぱっと思ったのが,気付かなかったんだろうなぁということだ。自分がバイオ系に,本当は興味を持てていない,向いていないということに,気付かないようにして来たのだ。

ここで,私の来歴を振り返ってみる。

高校卒業
(1年浪人)
地方国立バイオ系学科 入学
同大学大学院 進学
同大学後期課程中退 ヨーロッパのとある国でPhD開始 ← 今ココ!!

決して,はじめからバイオ系に興味がなかったわけではない。生物は子供のころから好きだった。虫なんかをジーっと見るのは好きだった。種類とか名前は全然覚えられなかったけど。
また,科学者,とういと,アニメなんかで,なんか難しいことをして人を助けたり発明をしている,あるいは,強敵として出てくる。要するに,賢くて,普通のひととは違うポテンシャルがある人達,というイメージだった。そんなふうに,私も難しいことができるようになりたいな~というあこがれがあった。

そう,あこがれがあった。しかし,もしかして違うのかもしれない,というのは,高校時代に気付き始める。まず,そもそも,生物学に対して,あんまり,わくわくしない。うわー,すごい!,って感じじゃない。研究って,ただの積み重ねなんだな。覚えることばっかり。
私の当時の得意科目は,だんとつで「現文」と「英語」だった。

そして,一浪して地方の国立大学バイオ系学科に進学する。

なんでだよ!!踏みとどまれ!現実を直視しろ!!!素直に文学部とかに行け!!!

でもやっぱり,生物学の方が,かっこよく見えたのだった。生命の神秘を探求するってかっこいいじゃない。え,そうでもない?
それに対して,文章で世界を変えるのだ,とか,今までの人々の営みを,とかいうのは,当時の私にはピンと来なかった。(今はむしろそっちの方に興味が向きつつある)

で,大学に入る。バイオ系の授業が始まる。
まあ,おもしろいっちゃあおもしろいんかもしれないけど,どっちかというとだるい。枝葉末節を永遠につついている感じがして,偉い教授の方々が,どこがどう偉いのかが,ぴんとこない。

でも,私は根が真面目だ。
ほら,今もどうしようもなくなって,とりあえずどうにかしようとあがきはじめて,なぜかNoteにアカウントを作るあたり,とっても真面目(空回りともいう)。

だから,当時の私は思った。自分の学習不足だよね。いまいちわからないものの,おもしろく思えないのは,私がおかしいんだ! と思って,勉強する。成績はそれなりに良くなる。学生の本分は勉強だよね!(ただ,興味はあまりないので,覚えた端からするする抜けていく)

そんなこんなで,ばたばたしているうちに,研究室に配属時期なる。そうすると,やればやるほど,とりあえず,実験結果は出る。むちゃくちゃ親しい友達もいなければ彼氏もいない,暇と承認欲求はある。そんな私にとって,とにかくがんばれば結果が蓄積する状況は,かなり心地よかった。

あれ!? 俺,向いてるんじゃないか。これ!?

自主的に土日も研究室に行って,自分一人しかいない実験室でほくそ笑む。

けっこういいんじゃない? これ

ここで良くなかったのは,研究に対する興味と,とにかく作業をこなす充実感を,一緒くたにして考えたこと。なーにもやることがなかった人間に,やることを与えたんだもの,そりゃぁわくわくするさ。
もう一つ,良くなかったのは,見える範囲を基準に,「自分は特別だ」と考えたことだ。
前述したとおり,私は基本的にSNSをやらない。
そして,土日,研究室に出張ってくるような,研究に熱心な同世代,というものがいなかった。結果的に,自分は他の人と比べても特別,研究に適しているのだ,と思い込んだ。

その結果,「行けるんじゃね」の精神性が培われる。

前述したような前向き(?)な理由ではないものの,もう一つ,私が研究に留まり続けたのには,涙を避けられない悲しい理由がある。
「他にやれることがなかった」。
哀れ。涙も出ない(矛盾)。

研究ばっかりやっているけど,他の経験があまりない。あれ,もしかして,私,向いてないかも……と思っても,他に,自分がなにに向いているのかわからない。
自己分析用の資料っていっぱいあるけれど,結局,自分自身の経験をもとに,自分で考えるしかないからね。
一念発起,うわあ,俺は別のことをやってやるんだ! と思っても,そうはいかない。

一応言い訳をしておくと,私も,「何をしたいのかわからない」なりに,がんばった。たとえば,博士前期課程で,それなりに真面目に就職活動をした。
その結果……就職活動からは退いた。諦めちゃった。だって,ピンとこないんだもの。就職して,そこで働いていくことをイメージすると,違和感がある。気持ち悪い。
今思うと,たぶん,探している職種が間違っていた。バイオに興味がないやつが,バイオの求人見とるんやぞ,ピンとくるわけなかろうが。
しかし,バイオ系で4年以上学修しているわけでして,そりゃあ,入ってくる情報もバイオ系が多くなる。そして極めつけは,私自身,就職するならバイオ系が当然,だと思っていたことだ。

私は思い込んでいた。
ここまで来たなら……バイオ系以外に道はない!!!!
バイオ系・オア・デス!!
それ以外の選択肢は,まず,情報が入ってこない。あと,自分でも積極的にそちらに動かなかった。自分はバイオ系に向いていると,思いたかったからだと思う。持っているものに,すがりたかった。

ピンとこない就職か,めっちゃ興味があるわけじゃないけど「行けそう」な博士後期課程進学か。
考え込んだ結果,ベストではないにしろ,ベターな方を選択した。

そして,博士後期課程に進学した。なんやかんやあって,現在もどこかのヨーロッパでPhDをしている。PhDを開始して,半年が通過した。

どうした。なんでヨーロッパにおんねんという感じだが,それは,この話とは直接かかわりがないので,省略する。

ヨーロッパに来て,研究を半年続けて,ようやくちょっと落ち着いてきた。そして,周りは,土日に研究をしている様子はないし,休みもちゃんと,たっぷりとる。そしてやっと,私にも余裕が出てきた。

こっちに来て,いろいろ人に話を聞いた。公務員や,国際組織で働く人もいれば,アルバイトで食いつないでいる人もいる。
PhD学生になる前に仕事をしていた人もいるし,いろいろなところを旅したという人もいる。
また,PhDを取ったからと言って,次にやることが決まっていないといけないわけでもないらしい。やっぱり,アカデミアや企業は選択肢として主らしい。でも,教育にいきたい,そんな人にも会った。

落ち着いて考えてみて,思った。
今,研究する分にはいいけど,一生やって,食ってくもんじゃねーなこれ。

そう思うと,肩の力が抜けた。
勝ち負けとか,他の人から見てどうとか,そういうことにこだわりすぎてたんだろーなぁ。
自分のプライドとか,そういうものを守ろうとして,目の前のことだけ一生懸命やって来たんだろーなぁ。
いやあ,よく頑張ったよ俺。

さて,これから人生どうするかな。

こんなことを言うと,「甘い! 人生展望が甘い!! 〇ックスコーヒーより甘い!! 」とおっしゃられる方もいるだろう。
真面目にこつこつと勤労してきたことをうかがえる。
(〇ックスコーヒー;とても甘い練乳に入れたコーヒー)

私もそういう人生になるのだと思っていた。でも,違った。なので,なにか,やり方を考えたい。

さて,どうするかな。
そんなわけで,空回りでも,とりあえず書いてみることにした。


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