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潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く

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2021年10月の記事一覧

第65話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

あれから数ヶ月が過ぎた…… 春は終わり、季節は夏真っ盛りと変わった。キンキンに冷えたかき…

第64話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

会話という会話はあったのだろうか?女の声は聞いていたが、耳が覚えようとはしなかった。唇を…

第63話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

灰色の雲が真上に覆い被さり、マチ針みたいな小雨が僕の肩を濡らした。斑模様の黒い点がベタ塗…

第62話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

雛形朋美が自殺した理由はわからなかった。だけど、最後の言葉だけは僕の心に焼き付いて残った…

第61話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

静寂すぎる図書館から向かった先は、雛形朋美のアパートだった。ここ一週間以上、朋美は身体を…

第60話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

両手に本を抱えて、扉から一人の女性が出てきた。大量の本を抱えていたので、背中で扉を押して…

第59話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

四月の第一週が過ぎた頃、僕は疲れた身体と心を癒すために、静寂すぎる図書館へ足を運んだ。この一週間、バイトが休みなしで入っていたせいだ。理由は三月の終わり頃から、体調不良で朋美がずっと休んでいた。 朋美とは一週間以上会っていない。心配もしたが、僕も僕で色々と忙しかった。実はこの四月から美鈴と同棲生活を始めていたのだ。それはごく自然な流れだったし、僕と美鈴は同じ生きる道を選んだと思っていた。 そんなこともあり、朋美とは連絡さえもしなかった。 それに、今月から新しくバイト採用

第58話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

この場面はいらないだろうと編集者がカットするように、僕らの場面は編集された。それでも編集…

第57話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

名前を思い出せないラブホテルに着いたとき、僕らはじゃれあうように寄り添っていた。僕は例の…