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好きよ。『好きよ、トウモロコシ。』

生きている間に何度も読み返すだろう本が、また一冊増えた。

エッセイスト・ライターの中前結花さん初エッセイ集『好きよ、トウモロコシ。』

前々からTwitterなんかで何度か見かけて気になっていたところ、先日池袋のジュンク堂でサイン本を発見したので購入。カバンに入れず手に持ったまま、カフェに直行して読んできた。

1時間ほどで読了。緩やかに心を動かしてくれる、そんな本だった。

子供の頃から上京、そして最近まで、いろんなタイミングのお話が書かれていて、どれも読んでいて楽しかったし、この一冊を読むだけでお会いしたことない中前さんの人柄というか人物像のようなものが、2割ほど理解できた気がする。

本書では、都内の駅を舞台にしたお話がいくつかあって、もしかしたらそれが本書のテーマの1つかもしれないとも思った。

自分も去年までの4年間住んでいたこともあって「ここは下北沢」が好き。

僕も「本のパトロール」を週2くらいでしていた。ヴィレヴァンは、昔から匂いが合わないのであまり行ったことはないけど、TSUTAYAができてからはやたらと通っていた。

「ここは下北沢」では、中前さんがお母さんから授かった「本を買うときのお金は、無くなったような気がするだけ」(P85)という素晴らしい病気のことが書かれていた。

下北のTSUTAYAができたのは、ちょうど僕がライターとして独立したタイミングとほぼ同じだった。元々本は好きだったけど、より本との距離が近くなったこともあって、それからは買う冊数、読む時間がグッと増えた。そして、一年ほど前に下北から二子玉川に引っ越してからは、より大きなTSUTAYAが近所に出現してしまったこともあり、なかなかに拍車がかかっている。

たまに今月は買いすぎたかなとか、もっと違うことに時間を使ったほうがいいかなと思うことがあったんだけど、この中前さんのお母さんの教えを知って、堂々と本と向き合っていこうと思えるようになった。

この本を2週間ほど前に買ってから、すでに2周している。もし今、友達から「エッセイ読んでみたいんだけどおすすめは?」と聞かれたら、星野源の『いのちの車窓から』か、この本を薦めようと思う。

あのでっかいジュンク堂をパトロールしたおかげで、特別だと思える本、それも貴重なサイン本に出会えた。いつか直接お会いできたら、サインの横に宛名を書いてもらいたい。

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