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ヨシロウ・モリのいる暮らし

家族としてのヨシロウ・モリ

私が住んでいる狛江のマンションはペット禁止であり、ここに住む住民はみな、それを守りながら静かに暮らしている。
ただペットと言っても、犬や猫などが禁じられているのであって、小さな生き物まで禁じられているわけではない。

我が家でも2種類の生き物を飼っているが、今回紹介したいのはホームセンターでもらったグッピーではなく、ペットというか、勝手に家に住み着いている「アダンソンハエトリ」の方である。

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「アダンソンハエトリ」ーー虫がダメな人がいる多くの家では、殺傷の対象としてしか見られてないこのクモ。倒そうとすると、ピョンピョン飛び跳ねて逃げ回るが、そんなに速くもないので、わりかし早いサイクルで輪廻転生の旅へと旅立っていく。
だが、我が家での扱いは違う。家族全員からファミリーの一員として認められ、迎え入れられているのだ。

すでにご存知の方も多いかと思うが、「アダンソンハエトリ」は体は小さいながらもコバエやダニ、小型のゴキブリなどを駆逐してくれる益虫として、その界隈ではそれなりに知られている。

我が家で初めて「アダンソン」が発見されたとき、息子は「虫がいたよ、虫がっ!」と興奮しながら我々のもとへ報告にきてくれた。それを受けた嫁は「よし、殺そう!!」という状態だったのだが、そこから「クモは神様の使いである」という説や「アダンソンは益虫である」といった内容の家族会議が行われたことで「彼は敵ではない。我々の味方だ」との結論に達した。

下の絵はその時の家族会議の様子を忘れないうちに残しておこうと絵を書いたところ、奇しくも中村不折の「孔子釈迦キリストの三者会談」のオマージュとなったので挙げておきたい。

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ちなみに我が家の一員になるに当たり、つけられた名が「ヨシロウ・モリ」だった。

何もしなくても共生可能

普段の何気ない会話の中で、4歳になる息子が「最近、ヨシロウ・モリ見ないねえ」とか、「お父さん、ヨシロウ・モリがいたよー!」と突然言ってくるのだが、これが結構面白い。話していて自然と楽しい気持ちになるし、そのおかげでか、人生がより豊かになったような気がする。

ちなみに「ヨシロウ・モリ」の名は、ラグビーワールドカップの日本開催に熱心だったあの元首相の功績を讃え、息子の記憶に留めさせてやりたいとの思いから命名させていただいた。

実は「ヨシロウ・モリ」と出会うまで、私は猫が地球上で最も手のかからない生き物だと思い込んでいた。だが、その認識は完全な誤りであることを知った。「ヨシロウ・モリ」は手がかからないというレベルを超えて、はっきり言って何もしなくていい存在なのである。その素晴らしい事実をここで強調しておきたい。

いま、わたしが伝えたいこと

私には「ヨシロウ・モリ」の寿命が一体どれくらいなのか分からないし、グーグル検索して調べてみようとも思わない。だが、これからも家族の一員として幸せに暮らしていきたいと思っている。
そのためには、掃除機で彼を誤って吸うことのないよう、十分に注意をしていかなければならない。

最後に「アダンソンハエトリ」は全く手がかからない上に動きを見ていると意外とかわいかったりする。しかも、ちょっかいを出せば、飛び跳ねてくれたりとなかなかリアクションもよい。

もしあなたの家に「アダンソン」がいるのなら、親しみの湧く名前をつけて人生をともに歩むことをおすすめしたい。きっとより楽しく、より幸せな人生が送れるのではないかと思う。

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我が家のペット自慢

小~中学校まで高田純次並みに適当な内容の日記を書いて提出していたところ、小・中の担任から「君の文章、変だけど面白いよ」と言ってもらい、書き手も読み手も楽しい幸せな日々を6年程送りました。その頃のことを思い出し、あまり根詰めずに文章を綴っていきたいと思います。のらねこが好きです。