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思い出深い映画レビュー記事まとめ

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印象に残った映画について書いたものです。
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記事一覧

映画レビュー「すばらしき世界」~西川美和が描くヤクザ出所物語の妙

いわゆる「改心もの」「出所もの」的なジャンルがある。 直情的で侠客気質の主人公が何かしら…

naosettsu
3年前
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映画レビュー「スパイの妻」〜黒沢清の新たなる試み

ヒッチコックの「断崖」のような映画かと思いきや、かなり二転三転した末にあのような物悲しさ…

naosettsu
3年前
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映画レビュー「来る」~現代の怨霊譚になり損ねた

とある一家(?)を襲う数々の怪奇現象と因縁を描いたホラー作品。監督は中島哲也。 原作は澤…

naosettsu
3年前
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映画レビュー「FAKE」~佐村河内守の人間性とは

ゴーストライター騒動によって世間を大きく騒がせた作曲家、佐村河内守に関する森達也監督のド…

naosettsu
3年前
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映画レビュー「鬼畜(1978)」~わが子を死なせなければならなくなった男の話

平凡な印刷屋が、過去の不倫によって生まれた三人の子供、そして本妻との関係に苦しめられる物…

naosettsu
3年前
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映画レビュー「ダークマン」~隠れた傑作ダークヒーロームービー

マフィアによって顔と身体を焼かれた男が包帯まみれの復讐鬼と化し、アドレナリンの大量分泌に…

naosettsu
3年前
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追悼エンニオ・モリコーネ

映画界に遺した功績があまりにも大きすぎて「これがベスト!」とは言えないのだけれど、個人的に好きなのはやはり「続・夕陽のガンマン」。クライマックスでの「黄金のエクスタシー」は不思議な爽快感と達成感を覚える。 他に印象の強いものはマカロニウェスタン。前述した作品を含む「ドル箱三部作」はじめ「ガンマン大連合」や「ミスター・ノーボディ」などは一度聞けばしっかり耳に余韻が残る。 意外に内容も面白かったのは「オルカ」や「ホワイト・ドッグ」。単なるジョーズの亜流に過ぎない話の良さがあっ

映画レビュー「スーパー!」プアーでバッドなバットマン

友人がおらず、婚約者からも逃げられた男がある日突然「啓示」を受け、赤いコスプレヒーロー「…

naosettsu
3年前

映画レビュー「鬼の詩」芸と見世物の違い

明治時代の上方を舞台に、とある噺家の執念を描いた物語。 桂馬喬は本来とても堅物の噺家であ…

naosettsu
3年前

映画レビュー「本陣殺人事件」~石坂金田一以前の傑作ミステリー

横溝正史原作金田一耕助シリーズ第一弾の映画化。 高林陽一監督作品。 大林宣彦も音楽担当とし…

naosettsu
3年前

映画レビュー「アギーレ 神の怒り」~野心家の絶望的な遭難譚

南米ジャングルにあると伝えられた黄金卿を探し求めて密林の奥深くへと入り込み、破滅していく…

naosettsu
3年前
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映画レビュー「L.A大捜査線 狼たちの街」~暴走する正義と静かな悪

犯罪者摘発のためなら手段を選ばない暴走刑事、そして偽札づくりに対して職人的なこだわりを持…

naosettsu
3年前
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映画レビュー「大菩薩峠(岡本版)」~悪の剣豪

いろいろなバージョンがあるが、個人的に推したいのは岡本喜八監督、仲代達矢主演のもの。 こ…

naosettsu
3年前
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映画レビュー「とべない沈黙」~芋虫の不思議な旅

「とべない沈黙」 ある一匹の蝶の幼虫がさまざまな不可抗力によって日本ないしは海外を旅し、その過程でいろいろな人間ドラマが描かれる映画。 主人公が飛べない幼虫ということもあって、その目線は非常に独特。彼女の目の前ではさまざまな悲劇や喜劇、裏切りや策謀、そして殺し合いまでが繰り広げられるが、どこかしらSFチックというか、舞台が現代なのに非現実的なものを感じさせられる。離人症というか、日々の大変な用事や関係に押し潰されそうな人であれば、この視点には共感してくれると思う。 幼虫の