夏は苦手
暑さが留まることを知らない。
「本日も猛暑となるでしょう」という言葉が今日もニュースで流れる。
その名に恥じぬ猛る暑さに、体力が削がれていく。最早猛暑以上の言葉が必要なのではないか、そう思わす毎日だ。
昔から夏ってこんな暑さだったっけ?
昔が良かった、なんていうことではないが、ここまで暑さに身を削られていた記憶が無い。
いや、もちろん暑さが苦手で、夏が極力早く過ぎることを願っていた身としては、その記憶が薄いというのはある意味突然だ。覚えておく気がないのだから。
しかしここまでだったか…どうやらデータでも平均気温というのは上昇傾向だそうだ。地球温暖化、ここまで身に染みる程なのかと初めて実感した。
でもそれも秋口になると忘れるのかも。冬には寒さに凍え、早く暖かくなってほしいと嘆くのが人の性だ。
暑いのが何故嫌かと言うと、自分のコンプレックスに由来する。夏は湿気も多く汗をかきやすい。すると癖毛が酷い頭がさらにうねるようになるのだ。朝整えたとしても、すぐさまうねって変な髪型になってしまう。それが学生時代から凄く嫌だった。
そんな理由…? とお思いだろうが、思春期男子には死活問題だ。朝セットしたり、アイロン当てたり、様々な策を講じたとしても、学校に着く頃にはくるくるだ。それゆえ実は夏というより、その前の梅雨の時期からもう大嫌いだったのだ。
語り出すといくらでも出てくるが、要するに夏は頭がくるくるになるから嫌だ、ということだ。でも実はこの問題は就職してから解決している。
髪を長くしてカチューシャをするようにした。幸い入浴介助という大義名分となる業務があったので、周りからもすんなり受け入れられた。
というか当たり前だが髪型なんかほとんど誰も気にしていなかった。おばあさんたちには若いというだけでくるくるでもモテたことも良かったかのかもしれない。自分のコンプレックスを少し克服できたようだった。
でもやっぱり夏は苦手だ。
自信のなかった自分を、受けとめてあげる度量はもう今の自分にはあるのかもしれない。
だが、まだまだくるくる天パな学生時代の自分がひょっこり顔を出し、夏なんて最悪だぜ、と語りかけてくる。
こいつをひとりにしないであげよう。
夏め…さっさと過ぎ去れ…
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