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物事の裏表

忙しい時に限って、更に忙しくなる用事が重なったりする。
今回の私の関西行きは正にそれだ。

老健に入所中の舅の通院の付き添いに行く為に来たのだが、どうせなら自分の両親の顔も見ていこう、と思い立ち、約五時間かけて実家に帰省した。
父とはコロナ禍以来、実に四年ぶりの再会である。二人とも元気そうで、安心した。久しぶりに三人で食卓を囲み、沢山話をした。
疲れはしたが、やはり来て良かった。

実家に泊まりはせずに、夜のラッシュを避けて京都に移動した。車中で今日電車に乗った時間を計算してみたら、合計七時間半。思えば遠くへ来たもんだ。
途中の電車の中で携帯が振動したが、他の乗客の手前取ることが出来ず、やむを得ず放置。
宿泊場所である、両親のセカンドハウスに着くなり、夫から電話があった。ケアマネさんから連絡があったという。取れなかった電話はこれだったようだ。

実は昨年圧迫骨折をした姑の腰の具合が最近、またあまり芳しくない。どうやら数日前、室内で転倒したのが原因らしい。
骨は折れていない、と医師に言われて胸を撫で下ろしはしたものの、調子は今一つのようだ。
ベッドからおりる時に上手く踏ん張れなかった、と言っていたので、電話で様子を聞く度、またやらかさないか、そもそも足首の具合もどうなんだろう、とちょっと気になっていた。
ケアマネさんからの連絡の内容は、
「再来月から老健に入所することになっているのだが、どうも辛そうなので時期を早めてはどうか。こっちにお嫁さんが来られているならそれについての話し合いの時間を取って頂けないか」
ということだったらしい。

要介護度が低いため、姑は短い期間しか施設に居られない。夏の暑い時期に施設に居られるように頑張りたい、と本人は言っていたが、多分もう限界だ。
頑固な姑を説得するのは、ちょっとこっちの『骨が折れる』かも知れない。

しかし気になっていたので、渡りに舟である。ケアマネさんと直にお話出来るのも有り難い。お忙しい方だから、向こうの都合に合わせることになるだろうけど、それはしょうがない。
夫にケアマネさんへのメールの返信を頼んで、電話を切った。

明日の朝はゆっくり寝ようと目論んでいたが、どうやら無理なようだ。
昼過ぎには舅の居る施設に到着しておかねばならない。出発前には宿泊している、両親のセカンドハウスの掃除も済ませたい。
両親はしばらく来る予定はない、と言っていたから、戸締まりもしっかりしないと。
近くにある祖父母の墓参りにも行くつもりだったが、無理かも知れない。まあ、生きている人を優先させてもらおう。
おじいちゃんおばあちゃん、今回はゴメンするかも。堪忍な。
寺の方向に向かって手を合わせる。

大変だと思えば大変だ。体力的にもキツい。
週末は、楽団の強化練習日になっている。もうコンクールまで三ヶ月を切っているから、これから回数は増える。
職場はこの土日、臨時の特売日に当たっている。日曜日は休みだが、土曜日は出勤だ。母の日のラッピングや配送も多いだろう。
ひゃあ、大丈夫か私?

だけど両親の元気な様子も見られたし、一緒に食事まで出来た。
気になっていた姑の様子を見ることも、ケアマネさんとお話をさせて頂くことも、舅の顔を見ることも、一気に可能になる。
何度も往復するより一度で済ませてもらえれば、こんなに有難いことはない。

一つ一つ、その時起こった感情に振り回されることなく、やってくる出来事を事実として冷静に受け止め、丁寧に向き合って行くようにすれば、必然的に感謝しか湧かない。
物事には必ず負の側面と正の側面がある。
今回の帰省には交通費がかかる、身体が疲れる、面倒臭いという負の側面は確かにあるけれど、そこにばかり注目していると精神をすり減らす。
良い意味で潔く諦めて、良いことに着目していけば、同じ行動をするのでも気分が違う。
気持ちよく行こう。
疲れたら休めば良い。

さあ、明日も忙しいゾ。
軽く一杯ひっかけて、早めに寝るとしよう。

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