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授かりもの


#名前の由来

ウチの家族は全員、同じ神社で名前をつけてもらっている。意図した訳ではなく、ただの偶然である。では家族全員ものすごく運が良いか、といえば別に普通である。いや、今までたいした災厄に会わずに済んでいるのは有り難い事である。色々期待し過ぎかもしれない。

なので、由来はまさに「神のみぞ知る」である。子供が小学生の頃、宿題で名前の由来を調べてこい、というのがあり少し困った。しょうがないので、5つくらい麗麗と名前の書かれた紙を見せて、神様が良いって言った中の一番良さげなこれにしたよ、と伝えたら、別の名前を指して「これの方がカッコ良かったのに」などと文句を言われたこともあった。その時、自分も母に同じようにされて、同じように言ったことを思い出した。子供には未知の名前がカッコよく見えるものなのかもしれない。

ママ友に我が子の命名秘話を聞くと、本当に様々だった。地元の美味しいお酒の名前から取ったとか、自分の好きなアニメのヒロインの名前だとか、おじいちゃんが早くから決めてて選択の余地はなかったとか…

中でも印象深かった話がある。その方は早くに結婚されたのだが、赤ちゃんがお腹に長く居てくれない体質で、長い間子供に恵まれなかった。何度も何度もご夫婦で悲しい思いを繰り返し、やっと出来たお子さんが、子供の同級生であった。

「この子は私たちの人生に希望と光をくれたんです。だからこの名前にしたんです。ぴったり、って感じでしょう?」

一緒に遊ばせている子供を優しく見やりながら、そのお母さんはしみじみと仰った。実感がこもっていた。私も本当ですね、と相槌を打ちながら、二人の遊ぶ姿を見ていた。

ニュースを見ていると、どんな犯罪者にも名前がある。その人の親は一体どんな気持ちでその名前をつけたのだろう、といつも思う。そして、子供の同級生のお母さんの、あの優しい眼差しを思い出す。


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