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量産商品とハンドメイド

私が突然ぬいぐるみを作り始めたことについて、そうだクオッカワラビーを作ろう!の一文から始まったように思えて、実はそこに至るまで色々思うところがあったことを思い出した。

私の仕事は雑貨商品の企画デザイナーで、一つの商品が決まったら千とか二千とか五千とか、もっと増えたら一万とか、とにかくめちゃくちゃに発注数量が出る商品を作っている。
もちろん工場も動くし、それに携わるたくさんの人が動く。それを売る営業のひと、お金の計算をするひと、生産の管理、品質の管理、ネットでの販売やプロモーション活動、マーケティングやモニターイベントと、自分一人では到底できない同時に行うたくさんの動きを、会社全体でやるというのはメーカーで働いている身においては当たり前のことであるけれど、
おれは会社で量産品のデザイナーだけをしてるおんなじゃないぜ!一人でも色々やるぜ!
などと強く思い始めたのだった。要はストレスが溜まっていたのである。
始めはぬいぐるみではなく、手染めの生地の染色などを学ぼうかと思った。インドネシアへ行ってきれいな生地や染料を見たり、東洋の生地について学ぼうかなとか、思ったのであった。
作り手にしかできない色やデザイン、形だとか触り心地だとか、調べているうちに一点ものの美しさにどんどん惹かれていた。
それから、仕事でテキスタイルを触っているのに今まで自分でそういうものを製作していなかったこと、への後ろめたさ?みたいな気持ちだとか、積年の思いがじわじわ、じわじわと溜まったまさにその時だったのだ。ぬいぐるみにたどり着いたのは。

ミシンを踏むのも生地を縫うのも、専門的な知識があったわけではない。最後にちゃんと学んだのは、学生時代に家庭科の授業で得た知識だ。
だけど私の祖母は社交ダンスが趣味で自分でドレスを縫っちゃったりとか
私の母は私が幼い頃に洋服を作ってくれたり、テディベアを作ってくれたり、なんだかんだとそれぞれテキスタイルに関したもの作りをする家庭環境にあった。そういった血が、クオッカさんを作り始めた事によって、イラストや漫画やデザインだとかの平面モノの製作ばかりをしていた、私にもあったことに気がついたのだ。
針と糸を使いたくなったのは、遺伝なのかもしれない。

minneのギャラリーページに今まで作ったぬいぐるみの写真をアップした。
可愛い子を可愛く撮影するために、我が家に撮影スタジオまで作ってしまった。いざカメラを向けると、いつもより少し緊張した面持ちになっていて、思わず笑ってしまった。
やっぱりぬいぐるみとはいえ、生き物なのだと思う。

とはいえ某大型量販店の全面に私が作った商品が並んでいることはとても誇らしいし、自慢できちゃうので、会社の仕事が嫌いというわけではないのである(色々あるよね)


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