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読書録【最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常】

最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常 二宮敦人

東京藝大の学生にインタビューを重ね、カオスの実態を紹介する本書。
口笛世界一から、絶叫する校長、魅力的な人たちで溢れている。
芸術の東大と呼ばれる東京藝大という物があるとは知っていたが、その実態は全く想像できないでいた。
美校、音校の二つに分かれ、2つ併せても2000人程度の学生で、それがジャンルごとに細分化されて、例えば指揮科なんかは1学年二人だという。教師とマンツーマンに近い状況で学んでいる。芸術って金がかかるんだなと思わずにはいられない。
学生はユニークな人ばかりで、口笛をオーケストラのパートのしようと研究している口笛チャンピオン、仮面ヒーローブラジャー・ウーマン、変人ばかりで楽しいが、みな共通するのがとにかく芸術が好きだって事だ。
元ホストクラブの経営者という異色の経歴の持ち主が出てくるんだが、元々グラフィティをしていて、それを切っ掛けに逮捕されたり、夜の世界にいきホストからホストクラブの経営者に、失敗して雇われ店長をしていたが、彫師になるため日本画を学びたくて藝大に入ったと。
その理由もどうなんだろうと思っていたら、理由は照れ隠しだと、単に絵が描きたくなっただけだと。やっぱり絵が好きだっただけだと。
他にも、藝大を目指して2年浪人したけど、浪人中はずっと絵をかいていて一番幸せな時間だったという学生もいたりで、みなそれぞれの芸術が大好きなさまがありありと伝わってくる。その異才さや変人ぷりより、芸術に対する無邪気な愛が溢れて際立っている。
藝大楽しそうだ、羨ましいとか思うけど、それ以上に自分が好きなものに打ち込めることの素晴らしさを感じずには居られなかった。

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