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絵本の記憶

M:前回、本を読むようになったのは大学生の頃からって言っていたけど、実家に絵本が結構あると聞いたことがあるような。

T:そうなんだよね。林明子さんの絵本が多いかな。『はじめてのおつかい』*1とか。福音館書店、偕成社の本は、今思うとたくさんあった。

M:『はじめてのおつかい』は私も持っていたな。

T:でも、うちに本があるということに気づいたのは、書店で児童書担当になったときだったんだよね。クリスマスシーズンに『まどからおくりもの』*2が補充で入ってきて、からだに電気が走る感覚だった。「これ、家にあった!!」って。
当時は自己啓発本をよく読んでいたから、正直ビジネス書担当したいなぁ、なんて思っていたけど、それ以降児童書に前向きに取り組むようになった。自分が並べているあの本もこの本も、親が読んでくれてたんだって。

M:おお、いい話。

T:『ぐりとぐら』*3のシリーズはね、親が読んでいたリズムとかもいまだに残ってるよ。

M:私は、こんなこと言ったら親が悲しみそうだけど、絵本の記憶あまりない……
『おだんごぱん』*4『てぶくろ』*5『からすのパンやさん』*6とか、定番書は色々読んだと思うけど、あれは幼稚園で読んだのかなぁ。あぁ、でも1冊大好きだった絵本覚えてるよ。もう絶版なのかな。『キッパーのおたんじょうび』*7という絵本。ケーキをつくる場面がなんだかたのしくて、セリフを覚えちゃった。

T:我々、今は絵本を子どもに「読む」方になったけど、この子が大人になったとき、絵本を読んでもらったなって覚えていてくれるかな……

M:1冊でも覚えていてくれたらうれしいね。まぁ「『じゃあじゃあびりびり』*8読んでくれたよね!」とか言われたら、あなた0歳から記憶あるのってびっくりしちゃうけど。

T:この子はどんな絵本がお気に入りになるかな。たのしみだね。

※タイトルは『絵本の記憶、子どもの気持ち』*9より。
今回のnoteを読んで、「子どもの頃に絵本を読んでもらった記憶がない」「絵本を読んでもらっていた気がするが思い出せない」という方におすすめしたい一冊です。あの頃の絵本との再会を手伝ってくれるはず。

  -----つづく-----

*1 『『はじめてのおつかい』(筒井頼子/作、林明子/絵、福音館書店)
*2 『まどからおくりもの』(五味太郎/作・絵、偕成社)
*3 『ぐりとぐら』(なかがわりえこ/作、おおむらゆりこ/絵、福音館書店)
*4 『おだんごぱん』(せたていじ/訳、わきたかず/絵、福音館書店)
*5 『てぶくろ』(エウゲーニー・M・ラチョフ/絵、うちだりさこ/訳、福音館書店)
*6 『からすのパンやさん』(かこさとし/作・絵、偕成社)
*7 『キッパーのおたんじょうび』(ミック・インクペン/作・絵、角野栄子/訳、小学館)
*8 『じゃあじゃあびりびり』(まついのりこ/作・絵、偕成社)
*9 『絵本の記憶、子どもの気持ち』(山口雅子/著、福音館書店)

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