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短編物語「すき焼きの牛脂」

すき焼きっていう料理は美味しい。

最初に肉を焼くために牛脂を鍋に入れ、脂を伸ばす。

その後、肉を焼き、割下を入れてお野菜を煮ていく。

旨味のために牛脂も入ってる。

一通り食事を終えると、鍋にはしぼみきった牛脂が残ってる。

脂は溶け出し、割下をずいぶん吸っている。

美味しいものって体に悪いよね?

だから、すき焼きに使うお肉はなるべく脂身の少ないところが良い。

なぜかって、最後に残ったその牛脂。

もう一度焼くんだ。

そして、熱いご飯と食べる。

罪悪感を抱えながら食べるその牛脂の、旨いこと。

食の美学ってのは、なんなんだろうか。

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