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初めての私的大恋愛、メンヘラの爆誕

中高生の恋愛って、まああってないようなもので。きちんとしたお付き合いを初めてしたのは大学生になってからだった。

18歳、大学に入学して一人暮らしを始めて、毎日が楽しくて仕方なかった時期、5歳年上の彼氏ができた。サークルの先輩で院の2年生だった。当時の私からしたら24歳の彼はめちゃくちゃ大人に見えて、しかも車持ちバイク持ちで、見たことのないもの、行ったことのない場所を教えてくれる「すごい人」だった。

いつからそうなったのかはっきりと覚えてはいないけれど、付き合って間も無くして彼の家での半同棲生活が始まった。朝起きて、2人揃って自転車で通学して、私の方が先に帰って、夕飯の準備をして、彼の帰宅を待つ。私がバイトの日はバイクで送迎してくれたりなんかして。私まで大人になった気になって、毎日「無敵」状態。マリオがスターを取ったときみたいな。

しかしほぼ初めての恋愛が順風満帆すぎたのがいけなかった。私は彼を「手中に収めた」と思ってしまっていたのだ。もちろん彼は彼であり、他人であり、私のものなんかではないのだから、勘違いも甚だしい。が、恋は盲目とはよく言ったもので、私は当時彼が自分の思い通りにならないと気が済まなかった。

休みの日はもちろん私と過ごしてくれるだろう、と言葉にも出さない期待を抱いて、いざ彼が「友達と飲みに行ってくる」なんて言おうものなら、ふてくされて駄々をこねて散々に困らせた。彼ありきで私の世界は回ってしまっていた。

さてここまで読んでいただいたならお気づきであろう。私は生粋のメンヘラである。「爆誕」なんて書いたが、もともとそういう素質があったに違いない。自分でも自覚しているのでどうにかしたいと思っている。

話を戻すが、そんな私にも怒らずごめんごめんとなだめてくれていた彼は、実際相当に大人だったと思う。当時の彼の年齢を超えたが、もし今私が恋人にそんなことをされたら、と思うとゾッとする。

付き合った翌年、彼は就職のため大阪へと旅立った。毎日電話してくれていたし、月1で交代で行き来していた。充分に手厚い愛情表現を受けていた私だが、メンヘラはこんなことでは安心できない。何をそんなに疑っていたのか分からないが、職場で接する女上司の話や、付き合いでキャバクラに行った話をされただけでこの世の終わりかと思うほど落ち込んで困らせた。

そんなことを繰り返しているうち、彼は私をなだめることをしなくなった。ため息をつくことが多くなり、私はそれを非難した。どんどん離れていっていることが分かっていたのに、止められなかった。今考えると本当に申し訳なかったと思う。

その年の8月、電話越しに別れを告げられた。絶対に振られると分かっていたから、仲の良い友達に付き添ってもらって電話を受けた。(当時はありがとう、友達よ)辛すぎてあまり覚えていないが、とにかく泣きすぎて死ぬかと思った。

それから毎晩泣いていた。どうにかして彼を悪者に仕立て上げて、かわいそうな自分を作り上げて、別れたことが正解だったと思うことにした。その後一度だけ彼に会う機会があって、面と向かって話した。納得したがむかついたので空のペットボトルを投げつけた。(本当にごめんなさい)

現在彼は結婚して子供もいる。TwitterとFacebookがいまだに相互フォローなのが面白いが、彼の近況を知れて安心している。ちゃんと幸せになってくれてありがとう。

私はというと、1年くらい彼のことを引きずっていたが、思い出すことが少なくなるにつれ未練もなくなっていき、新しい彼氏が出来ると完全に「過去の人」になっていた。「女は上書き保存」という言葉は的を射ていると思う。

ただいまだに、彼が好きだったミスチルの曲を聴くと、彼の下手くそな歌を思い出して少しだけ切なくなる。

とは言えこれも10代のまだまだ未成熟な若者の恋愛であって、大層なことを言えるものではないのだけれど。同じように失恋で苦しんだことのある人が「分かる〜」と画面の向こうで笑ってくれていたらいい。



泣いたり笑ったりして喜びます。