2/19(土)

むけどもむけども

『私』の家のそばの一軒家の前で、泣いている女の子がいた。
どうしようか迷い、ためらいつつも声をかけた。
「どうしたの?」
「玉ねぎむきすぎちゃったの。気づいたら全部なくなっちゃったの」
「そうか……。それでお母さんに怒られちゃった?」
「違うの」
女の子は首を振った。
「目が痛いの」
そう言って女の子は目元を拭うと、手についていた玉ねぎの汁で更に涙が止まらなくなった。
「大丈夫。辛い時は泣いてもいいんだよ」
『私』はそれだけ言うと、彼女が泣き止むまでそばにいたのだった。

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