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一料理人、山の料理の更なる深みへ

こんにちは、ハヤシヨウヘイです。
カステッリーナ・イン・キャンティにきて、トスカーナ料理を学び始めた私は、その更なる深みへとはまっていくとこになります。

現代は便利なもので、インターネットを使えば多くの郷土料理を探し出すことができます。
フィレンツェなどでも見かける有名なものから、ある一つの町でしか作られていない珍しい料理まで、多かれ少なかれ、書いている人がいるものです。
しかしここAlbergaccioで、それでも見られないような、珍しいというよりも、一部の人しか家で食べられないものに出会いました。

みずから、山へ入り

ソニヤとフランチェスコ(旦那さんでサービスをする)はこの地で生まれ育っただけあって、土地のことをよく知っています。
季節ごとに山の中で採取できるものを、みずから採りに行くんですね。

春、山アスパラガス Asparagi di montagna

春にとれるのは、山アスパラガス。
一般的に売られているものとは全く形が異なります。

真ん中に一本長いものがみえます、わかりますか?

非常に細く、2ミリ3ミリ、太くても5ミリほどしかありません。
しかし、とても長く育ち、50センチほどのものもあります。
林の中、茂みをかき分けながら、☝の写真の下側に見える植物を目印に探していきます。
彼らは毎年採っているので、大体の場所を把握しています。
サクサク見つけて、かごがいっぱいになっていきます。
私も何度か連れて行ってもらいましたが、なかなか見つからない。
難しいものです。

一度にこれくらい、シーズン中は何度も繰り返します

これを単純にゆでて食べる、塩とキャンティのオリーブオイルで。
うまい。
私が知っていたアスパラガスとは全く違いました、味が濃いんですね。
細くて皮をむくことなんかできませんから、下のほうなんかは歯でこそぐようにします。

これを料理として出すと、上のほうはひと茹でして、下の部分は煮だしてパスタの和えるのにつかわれます。


初夏、キノコ・Funghiの始まり


キノコのシーズンは初夏の熱くなる前と、秋の寒くなる前の二回あります。
日本でもポルチーニ茸は有名ですが、それだけじゃありません。

この写真の中に6,7種類キノコがあります

キノコ狩りは経験が必要ですが、二人は慣れたもの、山の中へ分け入ると地面を見ながらこれは食べられる、食べられないと、選り分けていきます。
暑すぎても寒すぎてもだめ、雨の降った後の晴れた日を狙う。限られた期間だけ手に入る、希少なものです。
道なき道を進んでいるようで、本人たちにはわかっているようです。
ついていく私は初体験、横で指示されたものを摘んでいきます。

籠いっぱいに収穫したキノコは持ち帰り、選別して泥を落としていきます。

これをシンプルに炒めてもよし、新鮮で硬さの残っているものはサラダにしてもおいしいです。
ソニヤが作るZuppa di funghi キノコのスープは絶品で、イタリアで食べたものの中でも忘れられません。

自分で採ってきた物を家で食べる、といった話を友人から聞くことは確かにあります。
ですが、レストランで食べられることは非常に稀で、かなり貴重な体験をさせてもらいました。

現代では数を減らしているとはいえ、こういった生活を、その土地に根差した生き方をしている人もまだまだいるのが、私がイタリアを好きな理由のひとつです。


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