(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃)

コルセットを目一杯に締める。力の限りに細く見せるのには理由があるのよ。殿方に美しく見られたいのだけじゃない、ただひとり、あの人を惚れさせるため。ドレスは二の次、かわいいのは私よ。
#小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃)

真っ暗な一本道が続いている。トンネルの中かとも思ったが狭くて何かが違う。ここは何処だろうかと来た道を引き返そうとして、向こうから水が流れてきた。しまった、ここはおそらく管の途中だ。
#小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃)

稲を刈り、薪を割り、畑を耕し、あの人の手伝いをする。居候しているのだから当たり前だ。俺が忙しくしていればあの人も退屈しないんじゃないのか。ねえ、俺を見て。
#小説 #ショートショートショート #BL

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃)

例えあなたが１世紀もの長い時を独りで生きてきたとしても、寂しくないわけがない。俺に何ができるのか考えない夜はない。あなたと共にありたいと言えればいいのに。今はただ黙って傍に居させて。
#小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃)

ふと空を見上げると白い羽根が一枚、私の手のひらに舞い降りてきた。見れば見るほどに純白だ。もう一度、空を仰ぐ。綿あめのように軽く真っ白い雲、その向こうにこの羽根の持ち主がいるのかな。
#小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃)

龍笛をつくっている。楽器作りの職人だと言えば聞こえはいいが、僕はまだまだ。この手の内の音色から、我が身に疼く平安の世を思い描く。きっと光源氏もこの音を聴きながら思いを馳せたことだろう。
#小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

泡のような引き潮の波が、砂に立つ俺の足裏をすくう。微かにくすぐったい感覚が俺の忘れたい記憶を思い出させた。真夏とは違う冷たい海水は彼女とは真逆だ。だが足元には絶えず小さな波が襲う。

_〆 (゜゜〃)
#小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

セラピーは君だけだ。この病気の治療法は何だったか。君の髪、君の手、君の唇、君の心、どれもが恋しいこの病気はいつの間にか俺の一部となっている。ああ、早く、早く、君は俺のセラピーだ。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

君の幸せを知りたい。君のことが好きだから、その心に幸せを持っていて欲しい。私と一緒に、だなんて贅沢なことは言わない。でも、でも、勝手に期待しちゃうのは私の心の幸せ。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

寒い、外気が冷たい、心も寒い。手はかじかみ、歯が音を立て、鳥肌が立っている。その時、ふいに暖かい風を感じた。脚を向けると、そこには過去に捨ててきた大切な存在が僕を見守ってくれていた。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

俺には守りたい、いや守るべき家族がいる。妻とも娘ともあまり会話をしなくなったが、俺は一家の大黒柱だ。家に帰ればニコニコする。仕事先でどんな事があろうとも、家には絶対に持ち帰らない。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

僕にだって感情はある。もう諦めて表に出さないだけ。だけど、ねえ、大声ってどうしたら出るんだっけ。だって、本当はね、この錆びついた扉の鍵をムリヤリにでもこじ開けてみたいんだ。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート