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【孫子の兵法・その15】 戦上手は、兵士を二度と徴用せず、食糧は三度と運ばない。

食糧や飼料の現地調達は、なぜ重要だったのか?

食糧輸送が大きな負担であった理由の一つに、輸送担当者自身の食糧も運ばなければならなかったこともあります。

もしも、輸送の往復に一ヶ月を要したとすれば、担当者一人につき一ヶ月分の食糧を上乗せして運ぶ必要があったわけです。

そこで孫子は、食糧や飼料の現地調達の必要性を説きました。

今日の経済活動は、物流の国際化が進んでいますが、それでもこの「可能な限り現地調達で対応する」という在り方は、現代社会の心得としても生かせる場面があるはずです。

  • 現地は現地で、利益を出していくということ

  • 人材は現地採用を基本とするということ

  • レストランなどが、その地域で採れた食材を主に用いること

なども、意味のある現地調達だと思われます。

戦上手は、兵士を二度と徴用せず、食糧は三度と運ばない。

装備は自国の物を使うが、食糧は敵地で調達する。
それで兵士の食糧はまかなえるものだ。

国家が軍隊のために疲弊するのは、兵士・物資・食糧を遠くに輸送せねばならないからだ。遠くまで輸送すれば、その負担で国民は疲弊する。

また、軍隊が近くに駐屯している場合は物価が上がる。物価が上がれば、国民は蓄えが尽きて生活が苦しくなり、いっそう軍役が激しい負担となる。

こうして、国力が低下して窮乏し、
国内の家々の暮らしはどん底に陥ってしまう。

国民は所得の7割を税金で持ち去られ、国家財政は、戦車の破損、軍馬の損失、武器・兵器や装備の補充(ほじゅう)、大牛に牽引させる輸送車など輸送手段の消耗によって、その6割が費やされてしまう。

そこで、知謀に優れた将軍は、食糧を敵地で調達するよう努める。

敵地で調達した食糧一鐘は、自国から運んだ食糧二十鐘に相当し、
敵地で調達した飼料一石は、自国から運んだ飼料二十石に相当する。

《孫子・作戦篇その二》

戦上手…「善用兵者」
二度と徴用…「再籍」
食糧は三度と運ばない…「糧不三載」
国家が軍隊のために疲弊する…「国之貧於師」
遠くに輸送…「遠輸」
国民は疲弊…「百姓貧」
軍隊が近くに駐屯…「近師」
物価が上がる…「貴売」
蓄えが尽きる…「財竭」
軍役が激しい負担となる…「急於兵役」
国力が低下…「力屈」
窮乏…「財殫」
国内の家々の暮らしはどん底に陥ってしまう…「中原内虚於家」
7割を持ち去られる…「十去其七」
国家財政…「公家之費」
戦車の破損…「破車」
軍馬の損失…「罷馬」
大牛に牽引させる輸送車…「兵牛大車」
6割が費やされてしまう…「十去其六」
知謀に優れた将軍…「智将」
敵地で調達した食糧一鐘…「食敵一鐘」
自国から運んだ食糧二十鐘に相当…「当吾二十鐘」
敵地で調達した飼料一石…「※くさかんむり&忌+?一石」
自国から運んだ飼料二十石に相当…「当吾二十石」

(次号に続く)


🔥すべては、勝利のために🔥

●あらゆる物事には、「盛衰の循環」がある。

東洋思想の根本原理である陰陽論は、あらゆる物事に「盛衰の循環」があることを教えています。陰極まれば陽に転じ、陽極まれば陰に転じるというもので、活動は必ず波を描きます。

陰陽循環を元に「流れを読む」ことは、指導者に必須のものの見方です。
それを教えている大事な東洋思想が「孫子の兵法」です。

そこには、流れを読み、流れに逆らわないで成功と勝利を収めるための秘訣が説かれています。

東西文明が交代期にある今、国際政治も会社経営の現場も、鎬(しのぎ)を削る戦いの場となっています。食うか食われるかの陣取り合戦が起こっているのが、世界の現実なのです。


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人生も、天分や天性を生かして、勝利し成功しなければ意味がありません。
これから皆さんと一緒に、激動の時代を生き抜くための「東洋の智恵」を、共に学び、共に体得し、実践して行きましょう!

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林英臣 頓首





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