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「自分のことを書けない」職業ライターならではの悩みに、どう向き合うか。 【書くと共に生きる人|こなみさん】

「同じライターなのに、私と、違う世界の人間だ」

オンラインコミュニティsentenceのペアインタビューの相手が発表されて、こなみさんを初めて知ったとき、率直に抱いた感想です。

ビジネスでインタビュー記事をメインに書いてきた私と、WEBメディアで書いているこなみさん。職業は同じ「ライター」でも、全く別の道を歩んでいるように思えました。

しかもこなみさんの最新の記事は、推しへの溢れんばかりの愛が綴られた超力作。


オタクといえるほどハマる趣味もなく、アイドルには殊更疎い私。この方と共通の話題があるのだろうかと不安が襲いました。ペアインタビュー辞めとけばよかった…と思ったほどです。

でも、こなみさんを知っていくにつれて、自分と似た部分があることに気づきました。

推しへの熱烈な愛を綴るこなみさんも、「自分について書く」ことに悩み、もがいている一面があることです。

交わらないと思っていた2人が重なり合う、不思議な感覚。悩みの背景やベクトルは全然違うけれど、「書く」というテーマで、私たちは繋がっていたのです。

ペアインタビューでは、お互いの「書く」ことへの想いをぶつけあいました。話が深まるにつれてお互いへの理解が深まり、自分自身の「書く」ことも顧みることができて。濃密な時間を過ごしました。

この記事では、林春花→こなみさんのインタビューを紹介します。先述したように、私もこなみさんも、まだ「書く」ことにもがいている真っ最中。光を見出しつつも、答えという答えは見つけられずにいます。そんな私たちのありのままの想いを伝えられたらと思います。

こなみさんプロフィール(話し手)
フリーランスの編集・ライター。大学在学中、ギフトECメディアAnnyにジョイン。現在は、ライフスタイル・美容系メディアで記事執筆と企画編集を担当。推しは、OWVの佐野文哉。

林春花プロフィール(聞き手)
インタビューライター。社内報制作会社にて取材・執筆を担当後、2021年1月に退職。地元富山に戻り、ライターとしてのキャリアを模索中。実家生活で増量し、現在リングフィットでダイエット中。

物語を紡ぐことから始まった、書く人生

林:今日はよろしくお願いします。はじめに、こなみさんの「書く」ことの原点を教えていただきたいです。子どもの頃から、書くことが好きだったんですか?

こなみ:授業の作文は得意ではなかったんです。でも「読む」ことは大好きで。親がよく本を買ってくれたし、図書館にも通いました。特に小説を読むのが好きで、いつしか頭の中でifの世界を思い描くように。中学生の頃、ストーリーを書き始めました。当時は、恋愛小説とかを書いてました(笑)。なんだか恥ずかしいですけれど、これが私の「書く」の原点ですね。

林:創作が原点だったんですね。今のお仕事とは全然毛色が違うのでなんだか驚きです。「書く」を仕事にしたきっかけは、なんだったんでしょうか。

こなみ:大学3年生の就活の時期、どんな仕事をするかを考える中で「書く」ことが浮かびました。ただ、「書く」にも種類がありますよね。小説家やエッセイスト、もしくはメディアとか。私は小説を書くよりも、人に何かを伝える仕事をしてみたいなって思ったんです。そこでライターのインターンに応募しました。


誰かに喜んでもらえることが、自分の喜び


こなみ:私がジョインしたAnnyは、「毎日にアニバーサリーを」を掲げる、ギフトECメディアです。私自身、贈り物を選ぶのが好きで、誕生日以外にも、ありがとうの気持ちを伝えるためにプレゼントを渡すようなタイプで。自分の生き方とも親和性を感じていました。

林:自分の生き方と親和性を感じられるメディアにジョインする。仕事と生き方がリンクするなんて、すごく素敵です。Annyでは、どんな学びがありましたか?

こなみ:私の書くことの原点である小説は、自分の感情を吐露していました。人に読んでもらうことは、あまり意識していなかったんですよね。インターンでは、人に読んでもらうためにはどんな情報を選ぶべきなのか、冗長な表現にならないためにはどうすべきか、基本的なことを学ばせていただきました。

大学卒業後は、そのままAnnyに就職しました。メディアが拡大する中で、セールスライティングやSEOにも携わりました。

林:フリーに転身したのは、何かきっかけがあったんですか?

こなみ:私とメディアとユーザー、この三者の意図や考えがぴったりと重なり合うようなライティングをしたいなと思い、独立を決断しました。
不安もありましたが、Annyで出会った方との繋がりから、仕事を紹介していただいたりもして。現在は、Hotpepper Beautyさんやココナラさんとお仕事をしています。自分が共感できるメディアを作れていることにやりがいを感じます。

林:今までのお話を聞いていると、共感できる仕事をすることは、こなみさんの仕事観の大きな割合を占めている気がします。

こなみ:たしかにそうですね。自分の人生観として、誰かのために動くことが私の喜びなんです。ギフトはまさにそうですよね。誰かのために贈り物をすることで、自分も同時に満たされる。書く仕事も、誰かに伝えることでユーザーやメディアに貢献できますし、似たような面がある気がします。

林:人生観である「誰かのために」という考えが、「書く」仕事にも繋がっていらっしゃるんですね。軸が定まっていて、なんだか尊敬します。素敵すぎる…!

こなみ:なんか凄いように語ってしまいましたが、軸とかすごく意識していたわけじゃないんですよ(笑)。


自分を文章でさらけ出せなくなった


林:noteを読ませていただいて、気になったことがありまして


「自分のことを書けない」という悩みを、以前sentenceで相談されていましたよね。私も、ベクトルは違えど同じような悩みを持っているので、シンパシーを感じたんです。半年ほど経ちましたが、現在はどのような状況ですか?

こなみ:仕事として書いていると、やっぱり自分を押し殺さなければいけないことってありますよね。そのせいか、自分のことについてのnoteを書こうとしてもなかなか続かなくて。自分のことをさらけ出したい!書きたい!という想いがあるのに、編集視点が邪魔をしてしまうんです。先日、ふと大学生の頃に書いていた文章を読んだんですが、その頃のほうが自由にかけていたなって思うくらいで。書く技術を身に付けたことで、逆に自分の想いを書けなくなってしまったんですね。

勇気を振り絞って、sentenceで相談しました。皆さん、温かい言葉をくださって。「書いてもいいんだ」って、ちょっとだけ許せるようになりました。でもまだ、克服したとは言えないレベルで。ちょっとずつ壁を乗り越えている感じです。

林:アドベントカレンダーで、推しの佐野くんについて投稿してますよね。あれを読んで、私少し引いちゃったんです。推し一筋なオタクさんだし、自我めちゃくちゃ強そう……みたいな。ディスっているわけじゃないんですよ(笑)。それくらいこなみさんの自身の熱量を感じさせる文章だったんです。
でも読み進めてみたら、こなみさんが「自分のことを書けない」「好きを好きと言えない」と悩みを抱えていることを知って。私的に、こういう文章を書く人って自己主張に困難を覚えていないイメージだったんで、すごく驚いたんです。

こなみ:そう見えましたかね(笑)。もともとオタク気質ではあるんですけど、古参の人たちがいるのに、ニワカな自分が推しへの愛を語るなんて、だめだと思っているタイプで。「好き」を堂々と語れずにいたんです。

でも、佐野くんの動画を見たとき、衝撃が走って。とにかくかっこいいんだよ!好きなんだよ!みたいな感情が湧いてきたんです。猛烈に「好き」と語りたくなって、つい書いていました。

Twitterを見てみると、ライターでもないけど、ロジックもめちゃくちゃだけど、ただただ好きを表現している人はいっぱいいるんです。もっと気楽に表現してもいいのかな、と思いました。

それに、オーディション番組という特性もあって、私が発信しないと佐野くんは売れないんですよね(笑)。佐野くんとの出会いで、好きを発信することができるようになったと思います。

林:私もこなみさんの投稿ではじめて佐野くんを知ったんですが、三次元で青髪って許されるんだ!?って思いました(笑)。こなみさんの熱量溢れる文章がなかったら、出会うことはありませんでした。こなみさんが伝えたからこそ、周りに伝わっているんだと思います!

お仕事での「書く」でも、何か変化はありましたか?

こなみ:そうですね、私自身の「好き」をもとに企画してみたり。ユーザー目線を考えるうえで、自分の感情も生かせるようになったと思います。

林:推しとの出会いで人生変わってますね。そんな出会いがあるの、少しうらやましいです…!

こなみ:佐野くんに人生捧げてますから!!(笑)。最近は、ライブレポートを書いているんです。今まで書いたことがなかったんですけど、頑張って仕上げたいですね!

林:絶対読ませていただきます!佐野くんへの愛が溢れているのが想像できる…(笑)。最後に、こなみさんの「書く」ことへのこれからの展望を教えていただきたいです。

こなみ:やっぱり自分のことを書きたいですね。自分自身を振り返り、考えるプロセスとしても大事にしたいです。仕事面でも、自分のことをさらけ出して、それを面白いと思ってくれる人とともにメディアを作れたら、ワクワクしますしね。

自分について書くことの悩みは、sentenceでの相談や佐野くんとの出会いで、徐々に和らいできているものの、まだまだハードルは高いです。ちょっとずつ、自分を受け入れて、発信できるようになりたいですね。

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自分について書くとき、編集視点が邪魔をするのは、ライターあるあるな気がします。そんなジレンマを乗り越えられるほどの、推しとの出会いを果たしたこなみさん。「佐野くんに人生捧げています」と語る姿、とても眩しかったです。

個人的に、アドベントカレンダーの記事を読む限り、自分のことを書けないなんて嘘やん!と、思ってしまいます(笑)。それくらい、こなみさんの文章は、ロジックを超えた、熱い気持ちが伝わってくるものでした。

こなみさんが今後、どんな文章を紡ぐのか、楽しみにしています!

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