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読書記録

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定年退職後、自分の時間を取ることができるようになりました。 今まで読みたいと思っていた小説を中心に、読書感想文を書きたいと思います。
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記事一覧

カルロ・ロヴェッリ「規則より思いやりが大事な場所で」を読んで

 この本は、購読している新聞の書評欄に載っていました。近隣の図書館にリクエストして購入してもらい、読みました。  著名なイタリアの物理学者が、過去に新聞に載せた、いろいろな分野に渡る、たくさんのコラムを、年代順にまとめたものです。 物理学  この本には、ブラックホールに関するコラムが、3つあります。  私には難しく一番縁遠く感じていたので、読む順番を最後に回しました。  しかし、読んでみると、意外に興味深いものでした。  相対性理論を発展させると、理論上、ブラックホール

稲垣栄洋「面白すぎて時間を忘れる雑草のふしぎ」を読んで

 この本は、購読している新聞の文芸欄で、サイエンスライターの方がお勧めされたものでした。  一読して、私が印象に残ったことを以下にまとめました。 雑草とは  雑草は、人間が管理している土地に生えている草で、人に邪魔扱いされがちです。 昭和天皇が、雑草という花はなく植物にはみな名前がある、と言われたことは、有名な話です。  雑草という言葉を広辞苑で引くと、自然に生えてるいろいろな草とあります。たくさんの種類があり、さまざまな生き方をしている。 雑草とは、環境

平野啓一郎「マチネの終わりに」を読んで

 平野啓一郎の小説を読むのは初めでした。また、恋愛小説を読むのは久しぶりでした。先程読み終わったところです。  還暦を過ぎて、このような恋愛小説と出会うと、自分自身の体験と重ね合わせながら読んでしまいます。  断片的な記述になりますが、今思うことを書きます。 始めに  主人公は、クラシックギタリストの男性と、国際ジャーナリストの女性。 時代背景が、サブプライローンに始まる金融危機、イラク戦争、東北大震災、音楽業界の不況。私が会社員時代の日本の30年間に及ぶ低迷の時代と重な

川端康成「古都」を読んで

図書館に寄った時、川端康成の「古都」を、文庫本で見つけました。 今年、所属する任意団体の旅行で、奈良と京都の旅行に行ってきました。 「古都」という言葉に惹かれ、短編集の「愛する人達」と一緒に、借りました。 作品の書かれた昭和30年代というと、日本が戦後の間もない時代です。 高度成長が始まる前の、昭和初期の社会、文化、風俗が色濃く残る頃です。 作者は、その時代を生き、小説に当時の人々の生活を描きました。 読後の感想を、以下にまとめました。 家の存在、人間模様 当時は、家

清水書院出版「つなぐ世界史」を読んで

私は、学生時代、科目では世界史が好きでした。 自宅に地球儀があり、それを眺めながら、国の位置を確かめ、首都を覚えるのも楽しみでした。 中学の頃、図書館に、世界の国々のことを書いた全10巻ほどの本があり、少しずつ借りて読みました。 図書司書の方に、「とても熱心ね。その本、みんな読んだのね。」と、明るい笑顔で言われたことを、今でも覚えています。 そんなことがあってか、生涯を通じ、世界の歴史や地理に関心がありました。 ウィリアム・H・マクニールの「世界史」が愛読書で、ときどき読

井上 靖 「しろばんば」を読んで

自宅には、井上靖の文庫本が何冊もあります。 文庫本のカバーに掲載されている、「井上靖の本」の一覧を見ると、既に半分ぐらい読んでいることにびっくりしました。 好きな作家なんだなと、改めて感じました。 井上靖の小説「しろばんば」は、私の愛読書です。 人生の節目に、何度か読み返しています。 昭和初期の風景 主人公は、親元から離れ、伊豆の自然の中で老婆と幼年期を過ごします。 近所の子供達、親戚、部落の人々との交流が、描かれています。 人とふれあい、その中から学んでいき、成長してい

トルストイ 「戦争と平和」を読んで

定年退職したら、じっくり長編小説を読んでみたいと思っていました。 図書館のロシア文学のコーナーに、トルストイ(以下、作家)の「戦争と平和」を見つけた。 岩波文庫のワイド版で、字も大きく読みやすいです。 高校時代に、作家の「アンナカレーニナ」を読みました。 内容をほとんど覚えていませんが、ともかく読み終えたことは記憶しています。 この小説の読み通せるかなと思い、お借りしました。 小説の内容 19世紀前半、ナポレオンのモスクワ侵攻した当時のロシア社会を、作家は5年という年月を

定年後の読書

noteを始めて2か月程が過ぎました。 任意団体の事務の記事を書こうと思い、2件を掲載しました。 スキやフォローをいただき、本当にありがたく、張り合いになっております。 これから少しずつ進めていこうと思います。 最近、noteで皆様の読書録を読んで、私も読書録を書いてみようと思いました。 私は、熱心な読書家ではありません。 それに、どちらかと言えば遅読です。 定年退職を機会に、じっくり小説を読んでみたいと思いました。 午後、時間もあり、図書館によく行きます。 書棚を覗