巴山竜来

数学の大学教員。著書に『数学から創るジェネラティブアート』、『リアルタイムグラフィック…

巴山竜来

数学の大学教員。著書に『数学から創るジェネラティブアート』、『リアルタイムグラフィックスの数学』(ともに技術評論社)、監訳書にスティーブン・オーンズ『マス・アート』(ニュートンプレス)。

最近の記事

3DCGを媒介とした絵画と数学の往還

2023年12月16日(土)から27日(水)まで,東京大学駒場博物館で行われている「ファンダメンタルズ フェス(2021-2023)」に画家の山本雄基さんとの協作を出展しました.この展覧会はファンダメンタルズという科学者とアーティストをつなぐ取り組みの中から生まれたもので,この協作では3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)を使って数学と絵画をつなぐことが主題となっています.今作の展示のための文章をここに掲載します. 数学者の目とCG,そして画家の目 数学の起源のひと

    • 2022年の仕事

      ここ数年取り組んでいたいくつかの仕事が2022年に公開されました.本業である大学の業務以外での仕事をここにまとめておきます. 『リアルタイムグラフィックスの数学』 2冊目,3年半ぶりの単著が何とか出版できました.詳しくはこちらにも書きましたが,前著『数学から創るジェネラティブアート』の続編的なものとして技術評論社さんから書かせてもらいました.この本で書いた乱数やノイズの話というのは,数学的な部分からちゃんと書こうと思うとなかなか大変で,簡単に書けるだろうと最初は軽く考えて

      • ジェネラティブアートについて

        書籍『リアルタイムグラフィックスの数学』の刊行に際し,FabCafe Tokyoで刊行記念イベントを行います.この本で扱うノイズや3Dの技術は,ジェネラティブアートという領域でよく使われている,ということは前の記事で書きました.ジェネラティブアートはCGにおけるある種の表現形態を表す言葉として近年では定着していますが,この言葉が日本で広がるきっかけとなったマット・ピアソンの本や,そこで引用されているPhilip Galanterの論文では,もうすこしターゲットの広い芸術表現と

        • 『リアルタイムグラフィックスの数学』はこんな本です

          8月31日に2冊目の単著『リアルタイムグラフィックスの数学:GLSLではじめるシェーダプログラミング』が発売されます!目次や内容の一部は出版社のサイトで見ることができます. この本がどんな本なのかということについて,著者から紹介をします. どんな本?この本はCG(コンピュータグラフィックス)の一分野であるリアルタイムグラフィックスの技術を数学的な観点から解説する本です.リアルタイムグラフィックスでは高速な計算処理が必要となりますが,これを可能とするのがGPUであり,GPU

        3DCGを媒介とした絵画と数学の往還

          『数学から創るジェネラティブアート ―Processingで学ぶかたちのデザイン』序文

          2019年4月に拙著『数学から創るジェネラティブアート ―Processingで学ぶかたちのデザイン』が刊行されました。こちらにその冒頭部を掲載します。 序文ジェネラティブアートとは何か?一言で言うならば、それは科学と芸術をつなぐ橋です。そしてこの橋はプログラミングによって作られます。この本では数学の視覚表現に焦点を当て、プログラミング言語Processing によるジェネラティブアートの実践手法を提示しています。この本で扱う数学は高校で学修するレベルの数学から出発していま

          『数学から創るジェネラティブアート ―Processingで学ぶかたちのデザイン』序文